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NTTグループを一網打尽--「NTTドコモ・ベンチャーズ Day」開催の意義

井口裕右 別井貴志 (編集部)2014年10月31日 14時48分
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 ベンチャー企業や起業家に対する資金支援や事業開発支援をしているNTTドコモ・ベンチャーズは、支援中のベンチャー企業や起業家などを集めてサービスのデモンストレーションや展示などを行うイベント「NTTドコモ・ベンチャーズ Day」を11月12日に開催する。

 同社では、今までもベンチャー起業支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」に参加しているベンチャー企業のサービスを紹介するイベントは開催してきたが、今回はこれに展示会などを盛り込み更に規模を拡大するという。このイベントの目的と具体的な内容について、NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長の秋元 信行氏に話を伺った。

NTTグループとベンチャー企業がミートアップできる場

--「NTTドコモ・ベンチャーズ Day」の概要について教えてください。

秋元:会場は大きく二つに分かれていて、プレゼンテーション会場ではドコモ・イノベーションビレッジの第3期参加チームによるデモンストレーションや、表彰式とトークセッションなどを予定しています。展示会場では、ドコモ・ベンチャーズが支援している企業の中から厳選した20社ほどが出展するほか、「39works(サンキューワークス」という共同事業開発プログラムの紹介も予定しています。

--従来のイベントとの違いや規模拡大の狙いについて教えてください。

NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長の秋元 信行氏 NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長の秋元 信行氏

秋元:従来のイベントはドコモ・イノベーションビレッジに参加している企業を紹介するだけのものでしたが、改めてドコモ・ベンチャーズの役割や強みをアントレプレナーやベンチャーキャピタリストに対して発信していく狙いがあります。

 私たちの一番の強みは、私たちを通じてNTTグループ全体へリーチできるということです。その強みを今回のイベントを通じて有効活用していこうということで、従来のデモンストレーションをイベントの中核に据えつつ、ドコモ・ベンチャーズの支援企業をベンチャーキャピタル、NTTグループ各社、事業会社などにご紹介する場にしていきたいと考えています。イベントを新たな協業の可能性を生み出すためのミートアップの場にすることで、ドコモ・ベンチャーズでしかできないイベントになるのではないでしょうか。

 ドコモ・イノベーションビレッジ参加企業のデモンストレーションやドコモ・ベンチャーズ支援企業によるブース出展などを通じて、NTTグループ企業と支援企業のミートアップを促進させます。また、39worksの紹介を通じてスタートアップや起業家の卵とのコミュニケーションも推進し、会場内でさまざまな化学反応を誘発していきたいと思っています。

--NTTグループとの協業を模索できるのは大きいですね。ちなみに、NTTグループは全体で何社くらいあるのでしょうか。

秋元:NTTグループは全体で946社あります。イベントの会場に全社来るかどうかは各社担当者の独自判断になりますが、支援しているベンチャー企業にとって魅力的であり、もしくは協業によるシナジーの創出が見込めるのではないかと判断したNTTグループ各社には、個別にお声掛けをしているところです。実務がわかっていて課題意識やベンチャー企業に対する具体的なニーズを持っている実務レベルの責任者に来てもらいたいと思っています。

 ちなみに、その他の事業会社の参加については、NTTグループと取引のある通信機器メーカー、NTTグループ各社と協業パートナーになっている企業などを想定しています。

それぞれのプログラムで目指す化学反応とは

--各プログラムの狙い、期待する化学反応について教えてください。

秋元:プレゼンテーション会場で行われるドコモ・イノベーションビレッジ参加チームのデモンストレーションについては、私たちのプログラムを卒業していく将来有望なスタートアップたちを世に知らしめ、今後のビジネス展開のきっかけをつかんでもらおうというのが狙いです。また、同じくプレゼンテーション会場で行われるトークセッションでは、私たちの新たな挑戦をお披露目することによって、参画に興味を持つ事業会社、アントレプレナー、スタートアップ企業をひきつけたいと思っています。

 一方、展示会場のブースで狙うのは、とにかくミートアップです。私たちが支援する企業とNTTグループ企業による協業のきっかけになればいいですね。ただそれだけではなく、その文脈に外部のベンチャーキャピタルや事業会社がどんどん入ってきて大きなスキームでのミートアップが生まれればさらにいいと思います。もちろん、ただ机とパネルを並べておくだけではなかなかいい関係が生まれないので、知っていただくきっかけを作りながらイベント後に協業を後押しできるようなフォローも進めていこうと思っています。

 また、同じく展示会場で行われる、今年2014年7月から展開している共同事業開発プログラムである39worksのブースでは、いくつかの事例をご紹介しながら、新しいサービスの開発にチャレンジしてみたいという新たな参加希望者を発掘したり、39worksから生まれる新しいサービスを推進するメンバーとして携わってみたいという人を発掘したいと思っています。加えて、39worksを通じたスタートアップとの協業も模索できるのではないかと思います。

--39worksは今までにない枠組みですね。現在はどのような状況なのでしょう?

秋元:例えば、「今は事業会社にいるが起業に興味がある。しかし、生活環境などを考えるといきなり会社を興すのは難しい状況だ」という人には、現業を続けながらバーチャルでプロジェクトメンバーとして参加できる39worksはぴったりなのではないかと思います。

 現在のプロジェクトは、行動をセンシングしてレコメンデーションするタイプのサービスが多いですね。中には、2カ月間運用してみて、既にサービスを終了した「KAOTAS」というものもあります。当該プログラムを利用して世に出したサービスでしたが、解決したい課題の仮説と目的が当初想定していたことと違ったこと、また世の中のニーズに合致しなかったことなどが終了させた理由です。

 これは、ある意味ドコモグループの取り組みとして画期的だったと思います。スピーディーに新規サービスを世に送り出して、そしてスピーディーに撤退させたということは、これまでなかなかできなったことでした。

--ずるずると引っ張るのではなく、スピーディーに撤退させるという点は大きいですね。

秋元:大企業では一度世に送り出すと成功しているかどうかはっきりしない状態でサービスを続けるということは多いのではないかと思います。検証したい項目が明確にあり、仮説の成否を検証するためのKPIがあることで、仮説が誤りだったら速やかに撤退して学びを活かした新たな挑戦につなげることが重要でしょう。ドコモ・ベンチャーズの姿勢、39worksの目指す形を象徴するような事例だったのではないかと思っています。

 実際、2カ月で終了したサービスも想定した仮説を実現することはできませんでしたが、担当者は失敗を通じて「本当にやりたいサービスはどんなものか」を知ることができました。失敗を通じて学んだり、失敗した人とのコミュニケーションを通じて学んだりすることで、新しいチャレンジに取り組むことができるのです。

「攻殻機動隊」の世界に技術者の英知が挑戦

--イベント当日に予定されているトークセッションですが、少しプロローグをご紹介いただけますか。

秋元:何をやろうとしているかというと、一言でいうと現在25周年を記念した新劇場版などが発表され話題になっている「攻殻機動隊」です。

 未来の社会を描いたメッセージやイメージビデオが数多く作成されてますが、攻殻機動隊で描かれている2029年の世界は、私たちの未来の可能性を示しているのではないかと思うのです。義手や義足、義体、電脳、人工知能を持ったロボット、自分自身の身体を含めてあらゆるものが常時ネットに繋がった世界……。攻殻機動隊に描かれたさまざまなものが、未来の可能性を考えていく上で参考になると思っています。

 私たちが今回紹介したいのは、その「攻殻機動隊で描かれた未来のテクノロジーを実現するために動き出したい」という世の中へのメッセージです。トークセッションでは、攻殻機動隊に登場するテクノロジーに近い研究開発をしている企業や研究者を招いて、パネルディスカッションをする予定です。「今の技術は、どこまで進んでいるのか」「技術的な課題はどこにあるのか」を議論していきたいと思っています。決してアニメファンのための発表ではなく、アニメに描かれた“未来図”を実現するために、優れた技術者・研究者たちの英知が本気で挑戦するというものにしたいと思っています。

 なお、攻殻機動隊の25周年を記念していろいろな取り組みをしているバンダイビジュアル、講談社、電通とも今回のトークセッションを行うにあたり人選などを一緒に進めてきました。新しい技術に挑戦しているスタートアップにも門戸を開きたいと思っています。

--具体的な目標などはあるのでしょうか。

秋元:2016年には、スイス国立コンピテンスセンター・ロボティクス研究所(NCCR Robotics:Swiss National Competence Centre of Research in Robotics)の主催でスイスにおいて「Cybathlon(サイバスロン)」というロボット技術などを応用したサイバーアスリートのオリンピックが予定されており、それもひとつのマイルストーンになるかもしれません。

 現在、義手や義足、義体の研究をしている人たちは、障がい者のクオリティオブライフを向上させたいという思いで開発を進めていますが、このプロジェクトを通じて、困っている人たちのために努力を続ける人たちにスポットライトを当てることができればとも思っています。ちなみに、陸上競技で義足の選手が健常者の記録を抜くといったことも起きています。いずれロボット技術が進化すれば、義手や義足、義体を用いて、人間の身体能力がより飛躍的に活性化する日が来るかもしれません。それも将来の可能性のひとつだと思います。そして、ロボット技術は日本のものづくりが世界に出ていく大きなチャンスだとも思うのです。

--最後に、イベントの来場者にメッセージをお願いします。

秋元:来場者の皆様には「見に来てほしい」ではなく「参加してほしい」と申し上げたいです。それに尽きます。

 NTTドコモ・ベンチャーズ Dayは単なる発表会の場ではなく、ミートアップを目的とした参加型イベントの場だと思っています。今までのイベントでは、発表するチームとオーディエンスという一方通行の構図でしたが、今回のイベントではすべての人たちが“一人称”で参加できるようなコンテンツを用意したイベントにしたいですね。

 NTTグループの担当者たちは、それぞれの考えで協業の可能性を模索しながら参加すると思いますが、一方で出展するベンチャー企業にとってはNTTグループ各社のキーマンを一網打尽にできる機会です。ここから協業やコラボレーションといったさまざまな形の化学反応を生みだしたいと思っています。

NTTドコモ・ベンチャーズ Dayでは、単純に“聴講”するのではなく、ぜひ“参加”してほしい、と秋元氏。 NTTドコモ・ベンチャーズ Dayでは、単純に“聴講”するのではなく、ぜひ“参加”してほしい、と秋元氏。

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