2015年夏に開発者向けキットの発売を目指す新型ヘッドマウントディスプレイ「FOVE」が、同年初頭にクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で出資を募る予定であることがわかった。FOVEのCEOである小島由香氏によると、資金調達よりもプロモーションとしての側面が強く、このプロジェクトを経て、現時点で「数千台以上」のプレオーダーを目標として考えているという。
FOVEは、視線追跡機能と傾き検知機能、ヘッドトラッキング機能を組み合わせることで、“目の動き”により仮想世界を360度自在に操作できるようにしたヘッドマウントディスプレイ。“目で見ている三次元上の座標”をアイトラッキングにより特定することで、「見つめたところがはっきり見え、見ていないところがぼける焦点表現」を実現しているという。
Microsoft Venturesアクセラレーションプログラムに日本企業として初めて採択されており、今後はこのプログラムに参加し、ゲーム領域におけるXbox事業との連携を視野にグローバル市場での普及を目指す。12月にロンドンで開催されるデモデイにおいてプロトタイプを発表するのが当面の目標だ。
Kickstarterでは過去に、FOVEと同じヘッドマウントディスプレイの「Oculus Rift」が開発費を募り、目標額の25万ドルを大きく上回る243万7429ドル(約2億5000万円)の調達に成功。また、映画やゲーム向けのゴーグル型網膜投影ディプレイ「Glyph」は、目標額25万ドルに対して150万9506ドル(約1億5000万円)を集めた。
小島氏によると、FOVEが狙うターゲットユーザーは、Oculus Riftが想定するより“上のレイヤー”のハイエンドゲーマー。ただし、ゲームのほかに医療領域への展開も予定している。「コミュニケーション障害を抱えている人には、相手の顔や目を見れないなどの問題がある。これをバーチャルの世界で練習できるようにし、治療に役立たせたい」(小島氏)。
FOVEは5月に法人を設立したばかり。小島氏はソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)で「PlayStation Vita」などのゲーム開発に携わった後、グリーで「探検ドリランド」のユニットリーダーなどを務めた。もともとバーチャルキャラクターとのコミュニケーションに興味があり、SCE時代に一度考えたアイデアをFOVEという形にしたそうだ。
共同創業者でCTOのLochlainn Wilson氏はオーストラリア出身のエンジニアで、顔認識や表情認識のアルゴリズムを開発した経験がある。画像処理に強みがあり、それがFOVEの視線認識にも役立っているという。
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