古川氏は、これまで運営に関わってきたCGMサービスによる経験から、コミュニティサイトにおいてはユーザーに対価を払わずに投稿してもらうのは難しく、モチベーション設計などを行う必要性があること、何かのメリットを見出そうとすると別のデメリットがあり、すべてを両立することは難しいことなどの教訓を挙げた。
こうした経験を踏まえ、CGMを作る際の5つのポイントをまとめた。1つ目は「ロジックに考えないこと」だ。人と人とのコミュニケーションのため、運営者の思い通りには動かない。論理的な機能ではなく、時に意味のない機能や無駄な要素があるくらいがちょうどいいという。2つ目は「数字で考えないこと」だ。数字を意識した瞬間にロジックに陥ってしまうと指摘する。
3つ目は「意味不明にすること」だ。CGMにおいてはシンプルさではなく分かりにくさ、機能の説明やサービスの価値を説明しようとしないことが重要だという。4つ目は「ゴールを明確にしないこと」だ。コミュニティでは言語的な部分だけでなく非言語的な要素も大きく、そのすべてを説明することは難しい。だからこそ、あえてゴールを設定せず、「この機能でユーザーがどう反応するかを意識すること」が大切だという。
5つ目は「手段を目的化すること」だ。「目的に向かって手段を講じるのはアメリカ的」と古川氏は語り、日本における初音ミクなどを例にあげながら説明した。「初音ミクは、こういう曲を作りたいという欲求ではなく、初音ミクを使ってどう面白くするか、という発想からクリエイティブなものがたくさん生まれてきた。人が生み出す独創的なものは、目的のために作るのではなく、その行為自体が面白く楽しいものであることが根底にある」(古川氏)。
アンサーでも半数以上は質問ではなく、投げかけやグチなどが投稿されているが、投稿しているうちに自分自身で解決策を見出したり気づきを得たりする人が多いという。CGMにおいては、ビジネス的なロジックを適応させるのではなく、人のコミュニケーションによる非論理的、非言語的なやりとりが意味をもつと古川氏は語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
トラディショナルからモダンへ進化するBI
未来への挑戦の成功はデータとともにある
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス