3Dモデルを使ってメンズシャツをデザイン、注文できるウェブサービス「Original Stitch(オリジナルスティッチ)」。2013年12月に米国シリコンバレーで公開され、日本では4月3日から利用できるようになった。シャツは国内の縫製工場で生産され、3週間以内には手元に届く。価格帯は7000円~1万2000円ほどだ。
日本でのサービス開始から約2カ月。その手応えと今後のビジョンについて、サービスを運営する米国BleuFlamme LLCのファウンダー兼CEOであるJin Koh氏に聞いた。
Original Stitchでは、生地やボタン、襟の形状などを自分好みに選び、長袖のメンズシャツを約10億通りの中からデザインできる。ウェブサイトでは他のユーザーが制作したシャツを閲覧でき、そのデザインをもとに、生地の柄やボタンの色などをカスタマイズできる。自分のデザインはFacebookでシェアすることも可能だ。なお、米国からの注文であっても、シャツはすべて日本で生産される。
Jin氏によると、Original Stitchの登録会員数は5月時点で、日本で約9800人、米国を合わせると約2万8000人。日本のユーザーがサービスに登録してから実際に購入する確率は、15.2%。米国も含めた数値は9.7%であり、サービス開始から間もないこともあるが、日本の購入率は比較的高い。
1人当たりの平均購入価格は、日本は約79ドル(約8000円)、日本と米国を合わせると約106ドル(約1万200円)。サービスの収益は黒字を保っており、ここまで順調に成長できているという。
リピーターは、日本と米国を合わせて約18%いる。中には「友人のプレゼントとして欲しいから、この前より早く届けてほしい」、「自分の好きなブランドのシャツを送るから、これと同じものを仕立ててほしい」と相談してくるユーザーもいるという。なお、現状ではこのような問い合わせには対応できないそうだ。
Original Stitchはシャツを注文するサービスだが、TwitterやFacebookと同じく、自分自身を表現するものとしても使われている。「ネットで自分のデザインをシェアできることもそうだが、届いたシャツを着て、自分のスタイル、テイスト、パーソナリティをリアルな場でも表現してほしい」(Jin氏)。
近く英国でも展開し、ヨーロッパ諸国でのサービス拡大を狙う。
「日本には(アパレルメーカーに限らず)良い会社が多くあるが、ほとんど国内でしか製品を売らない」とJin氏。米国から日本製のものを売るのは新しい取り組みだと説明する。
Original Stitchのシャツはすべて長野市と天草市の縫製工場で生産され、世界に届けられる。シャツが返品されることもあるが、その理由の多くが「品質には満足だが、サイズが合わない」というものだそうだ。これを受けて現在、特に日本人男性に多い細身の体型に合うよう、胴周りや袖周りを細くしたシャツを扱えるように工場と交渉しているという。
また、「日本の“技術”も世界に広めていきたい」(Jin氏)という思いから、先進的な素材を使ったシャツも試作している。このほか、6月中をめどに、半袖シャツを注文できるようにする。シャツ以外のアイテムや女性用のアイテムは当面扱わず、それよりも各男性ユーザーに似合うシャツのレコメンド機能の開発に取り組む。
「女性はおしゃれに気を遣う人が多いが、男性はそうではない。たくさんのお金や時間をかけたりするのではなく、簡単かつ速く、見た目をよくできるサービスを目指す。テクノロジの力で、それができると考えている」(Jin氏)。
今後、サービスの認知が高まってきたタイミングで、オーダーメイドの注文を受けられるようにしたり、リアルの場で採寸ができるイベントを開いたりすることも考えているという。Original Stitchは引き続き「日本の工場と世界の消費者を直接つなげ、良いクオリティの製品を安く届ける」(Jin氏)ことを軸としてサービスを展開していく。
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