国が定めた国家特別戦略区域法を活用したオンライン宿泊サービス「TOMARERU ~日常を旅しよう!~」が2014年秋にも始まる。宿泊サービスの“とまれる”と賃貸仲介大手のエイブルが業務提携して運営し、2015年3月末までに宿泊登録物件数3000件、取扱高2億円を目指す。5月22日、国土交通省での共同会見で発表した。
このサービスでは、日本の民家に泊まりたい旅行者と、後述の国家戦略特別区域内に空き部屋、空き物件を所有するオーナーを予約サイトでマッチングさせる。通常、不動産物件は宿泊施設として提供できないが、特区法第13条の「旅館業法の適用除外」を活用することで、これが可能になる。
両社は宿泊側の主要ターゲットとして、2020年の東京オリンピックにあわせて増加が見込まれる外国人旅行者を挙げる。予約時や滞在中の要望に対応するため、コールセンターを設置する予定だという。ただし、文化や習慣の違いによる近隣住民とのトラブルへの対応策や、カギの受け渡しの具体的な方法などはまだ模索中とのことだ。
開始当初は日本語、英語の2カ国語に対応させ、順次対応言語を増やす。オーナーと外国人旅行者とのコミュニケーションには、翻訳ツールを使うことを考えているという。
サービスに登録できる空き部屋、空き物件の対象エリアは、東京都千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区の9区と、千葉県成田市、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県で、すべて特区法で指定される地域となっている。これらの地域のオーナーに、エイブルがTOMARERUの活用を提案する。
宿泊費などの料金は各物件のオーナーが決めることになるが、一般的なホテルに泊まるよりも「基本的には安くなる」と、とまれる代表取締役社長の三口聡之介氏は説明する。「需要と供給のバランスで適正な価格に落ち着くと思っている」(三口氏)。
ビジネスモデルとしては、とまれるが宿泊者とオーナーとをあわせて約10~15%の手数料をとる。一方、エイブルはまだ精査している段階だ。エイブル代表取締役社長の梁瀬泰孝(やなせ やすたか)氏は「TOMARERUで多くの収益を上げられるとは思っていない」と述べ、「空き物件のオーナーがこのサービスを使い、収入が上がったら、そこで得たお金で別のサービスを購入してほしい」と期待を語った。
日本政府観光局(JNTO)の亀山秀一氏によると、訪日外国人旅行者は増加傾向にあり、先月の4月には単月過去最高の123万2000人を記録したという。TOMARERUに対して亀山氏は「旅行や観光市場全体の印象に影響する取り組みなので、安全で快適なサービスを提供してもらえるようお願いしたい」と語った。
サービスは、予約サイトでの掲載物件の審査を含む行政機関の対応が完了次第、2014年秋をめどに開始する。開始時までに、まずは1000件の宿泊先登録を目指す。
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