ロノトは5月16日、パズルクエスト型のゲームで英単語を学べるアプリ「タワーオブスペルズ」を公開した。基本プレイは無料。約100体のキャラクターイラストは「ビックリマン」を世に送り出したグリーンハウスが担当した。まずはiOS版のみを配信し、近くAndroid版も公開する予定だ。
ゲームのパズルは、トランプの“ポーカー”から着想を得たシステム。プレイヤーは色とスペル(英単語)を揃えることで敵に攻撃できる。スペルは、たとえば「H」「E」「A」「L」の4つのアルファベットを縦または横に並べて 「HEAL」(癒やす)にするといった具合だ。一度つくったスペルはコレクションとして記録され、いつでも見られる。
スペルは「ネイティヴスピーカーと対等に話すために必須の英単語」をロノトが厳選した。TOEFL、TOEICや難関大学の受験にも対応しているという。
キャラクターはシナリオを進めることで獲得できるほか、課金の「ガチャ」でも手に入る。なおロノトではガチャに対し、子どもの誤操作を防ぐため、一度登録したら変更できない年齢確認システムを設けている。
ゲーム内のシナリオやイベントは随時更新される。同社では今後、ネイティブの発音や、実際にネイティブが使用している例文などをチェックできる機能も搭載するとしている。
タワーオブスペルズが初めての作品となるロノト。2013年6月の設立以来、外部資本を入れずにアプリ開発を続け、念願のリリースにこぎ着けた。
代表取締役社長の谷本洋平氏と代表取締役副社長の橘芳樹氏は、谷本氏の姉を介して出会った。2人が共同創業の検討を始めたのは2012年のこと。「教育分野の新しいサービスを作りたい」という谷本氏の思いに、橘氏も共感したという。
谷本氏はこれまで、教育学部を卒業してからNTTデータやグリーなどで開発、事業運営に携わっていた。一方の橘氏はJ.P.モルガン証券やユニゾン・キャピタルで投資業務に従事。その間に、世界的に高い評価を受けているペンシルベニア大学ウォートン・スクールにおいてMBAを取得している。現在はそれぞれの経験を活かし、社内外のスタッフとともに、谷本氏がゲームの設計やシステム開発を、橘氏が事業や財務の戦略立案を担当しているという。
英単語を学べるゲームアプリは、今では真新しいものではない。しかし橘氏は、「ロノトが提供するゲームは、他社のものとは違う」と自信を見せる。「タワーオブスペルズは、単なるゲーミフィケーションによる英語学習アプリではなく、ゲームとしても一流のものを目指して作った。『学ぶためにゲームをする』ではなく『ゲームをしていたら知らないうちに身についていた』を実感してもらいたい」(橘氏)。
サービスの収益はユーザー課金に頼ることになるが、「基本的には無課金でのプレイを想定している」(橘氏)と、そこに積極的な姿勢はみられない。ゲームの“やりこみ要素”であるキャラクターのレベルアップや進化にゲーム内通貨は不要で、スタミナ(遊ぶたびに減少し、尽きると一定時間が経つまでプレイできない)やパーティコスト(バトルでのキャラクターの組み合わせの制限)といった仕組みはそもそも設けていない。ただし、ガチャでしか入手できないキャラクターは用意している。
「ゲームを長い間やってもらえれば、お金を出してくれる人は必ず現れる。子ども向けのゲームではあるが、ビックリマンが好きな30~40代の方も遊んでくれるはず。お金を持っている大人の皆さんからの課金を期待したい」(橘氏)。
広告を使っての宣伝はせず「まずは10万ダウンロード」と橘氏。語学学習者だけでなく、純粋なゲームのプレイヤーへの認知も広がることを期待する。今後、タワーオブスペルズというコンテンツを強化しながら、教育プラットフォームの展開も考えているという。
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