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「リアル脱出ゲームTV」が生みだす放送×通信の新機軸--薄まる現実とドラマの“境界線”

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 TBS系で毎週木曜日の深夜に放送中の「リアル脱出ゲームTV」がおもしろい。サスペンスドラマ作品において視聴者を謎解きに引き込むのは基本的な手法のひとつではあるが、同番組における「参加感を高める演出」へのこだわりは過去に類を見ないレベルだ。

  • 「リアル脱出ゲームTV」

 レギュラー放送の第1~2回では、実際のTwitter上で展開された犯人のつぶやきが謎解きのキーとなり、投稿の更新も番組と同時に進行。また、犯人のつぶやきに対するリプライがドラマ内で実際に読み上げられるなど、「現実とドラマの境界線」をあいまいにする演出が随所にほどこされている。

 PCやスマ―トフォン、タブレットを駆使しなければ太刀打ちできない謎解きそのもののレベルの高さも魅力の1つ。番組プロデューサーの中島啓介氏(TBSテレビ次世代ビジネス企画室件情報制作局情報三部)は「誰でも気軽に参加できて楽しめる作品」と語るものの、客観的に見てネット検索やSNSなど多くのデバイスやツールを駆使すればするほど回答に近づけるバランスであることは否めない。

 こうした番組制作の姿勢は、参加者の間口を狭めてしまう恐れもある。各種情報端末やツールを使いなれていない視聴者は謎解きに参加できないも同然であり、いかにストーリー部分を魅力的に作り込んだとしても「誰もが楽しめる」と言い切るのは難しい。だが、その「楽しめる人だけが楽しめる」番組作りこそが、コンテンツの質と参加への意欲を高めているように思う。

1年あまりで深夜特番からレギュラーへ

 リアル脱出ゲームTVは2013年1月1日の深夜に特別番組として第1回が放送され、同年4月の第2回で足場を固めた後、8月の第3回、2014年1月の第4回とゴールデンタイムに昇格して放送。そして、この4月よりレギュラー放送を開始した。

  • 「NISSAN×リアル脱出ゲームTV 史上最難関の採用試験 THE TEST」

 早い時間の放送となった第3回からは日産自動車がスポンサーとして全面協力。早期回答者に自社の自動車を賞品として用意し、視聴者のより積極的な参加を促すようになった。現在放送中のレギュラー番組についても「NISSAN×リアル脱出ゲームTV 史上最難関の採用試験 THE TEST」と題した企画が進行中で、企画を勝ち抜いた1人には連続ドラマ最終回への出演権、そして「捜査車両」としてコンパクトカーの「NOTE」が支給されることになっている。

 さらに、2014年の国際エミー賞デジタルプログラム部門においては、世界中のテレビコンテンツの中から最終ノミネート4作品に選定。海外からも新しい形の番組フォーマットとして注目を集めている。

 こうした足跡を見ても、この番組がわずか1年半あまりで大きく内外の評価を高めてきていることがわかる。広告会社として番組企画に参加するTBWA╲HAKUHODOインテグレーテッド・コミュニケーション・プラナーの三浦崇宏氏も「番組を見てウェブから参加するという“オンエア to オンライン”が形成されており、従来の視聴率とは異なる指標を得ることができている」と番組の持つ意味を評価する。

  • TBSの中島氏(右)とTBWA╲HAKUHODOの三浦氏(左)

 デジタル放送開始以前より期待を集めてきた放送・通信融合型のコンテンツは、テレビ端末への通信回線接続が思うほど進まなかったこと、ワンセグ放送が期待したほど劇的な支持を集めなかったことなどにより低空飛行を続けてきたが、ここにきて「ハイブリッドキャスト」の登場や日本テレビの「Join TV」をはじめとする各局の取り組みによって新たな局面を迎えつつある。

 一方、リアル脱出ゲームTVにおける放送と通信の融合の形は、放送業界としての新たな動きに付随するものではない。あくまで独立した放送番組として成立させつつ、それをより楽しむために各種通信端末を自由に使ってください、というものだ。「制作者としてまず考えるのは番組のエンターテインメント性の向上。新たな技術を使いこなすことで、楽しめるものを制作することに注力していきたい」(中島氏)。

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