Amazonが2014年に取得した特許について、写真家たちから非難の声が上がっている。この特許は写真撮影の照明技術に関するもので、何年も前から使われている手法だ。今回これが、特許制度に対する信頼を損ねる結果になっている。
Amazonのこの特許(米国特許番号8676045)は、「Studio Arrangement」という名称で3月に付与されたもので、前面に被写体を置き、背後に明るく照らされた白のスクリーンを配置する特定のレイアウトについて記載している。これは、背景を「真っ白」にして被写体を浮かび上がらせる手法だ。
1988年からプロの写真家として活動しているDavid Hobby氏の主張によると、これ自体は優れたアイデアだが、新しい発明ではないという。Hobby氏が数年前から運営しているStrobistサイトは、フラッシュ撮影に関するアドバイスを集めた人気情報サイトになっている。この撮影手法は同氏自身、数十年前に最初にスタッフとして参加した業界紙向けの撮影で使用したという。
「どの写真も白くする照明で撮影した。それによって、視覚的な様式と整合性を持たせることができたし、さまざまな被写体を撮影することができた。ただし、1988年に大学を出たばかりの新人だった自分にも、それが新しいことだとは思わなかった。どう見ても、そのことに異論はないだろう」(Hobby氏)
実際に、インターネット上ではこの撮影手法に関するチュートリアルをたくさん見つけることができる。Photo.netフォーラムや、Amazon傘下のDPReviewといったサイトにも、今回の特許についての非難や懸念の声が数多く寄せられている。Sheridan Rossの弁護士であるRobert Brunelli氏は、「この特許の妥当性を問題にする先行技術は見つからないだろうと思われる」と述べている。ここでいう先行技術とは、このAmazonによる特許の申請(2011年11月)以前から知られている手法を指している。
Amazonにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
今回特許化された手法は、照明やその他の機材の配置について非常に具体的に指定するものだ。Brunelli氏によると、このことは、特許訴訟を心配する写真家たちを安心させられるはずだという。写真撮影のやり方をちょっと変えるだけで、法的義務を回避できるからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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