シンガポール初の子ども向けウェアラブル“見守り”端末「meLink」

 この連載では、シンガポール在住のライターが東南アジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、東南アジアにおけるIT市場の今を伝える。これから数回は、シンガポール国立大学のインキュベーション事業NUS Enterpriseが4月に開催したテックカンファレンス「InnovFest2014」で取材したスタートアップ企業を紹介していく。

 日本ではウェブラブル端末が注目を集めているが、それはシンガポールでも同じ。InnovFest2014でも専用のブースコーナーが設けられており、複数の出展企業が来場者に対して熱心に自社製品を紹介していた。

  • 「meLink」

 今回取り上げるスタートアップ企業が開発する製品「meLink」は、そうした中でも珍しい、子どもをターゲットとしたものである。製造するスタートアップCoordSafeによれば、シンガポールでは初めての子どもを対象としたウェアラブルGPS端末だという。meLinkは子どもが危険な目に遭わないよう、保護者たちがきちんと監視するためのデバイスとして作られている。

 主な機能は4つだ。1つは、子どもが現在もしくは過去にいた場所を知らせるというもの。保護者は専用の無料アプリで確認できる。2つめは、子どもの行動範囲を制限する「SafeZone」。アプリ内で表示される地図上である地点を起点とし、そこからの距離を定めると、円形のゾーンが出来上がる。もし子どもがその円の外に出ると、通知がくるというものだ。

  • 「SafeZone」機能の画面

 3つめは、「Safe Distance」。保護者と子どもの間の距離や時間を設定しておくと、それ以上子どもが離れてしまった場合にアプリに通知する。SafeZoneは通学路など決められた範囲で制限をかけるのに有効であるのに対し、Safe Distanceは一緒にいるときに迷子になるのを防ぐのに適しているだろう。4つめは「Panic Alarm」。端末の側面にボタンがついており、子どもがそれを押すと現在の位置情報とともに通知がくる。緊急事態が発生した際に有効だ。いずれの通知も、アプリだけでなく、EメールやSMSでも受け取ることが可能だ。

 端末の価格は1つ299シンガポールドル(1シンガポールドルは約82円)。1年間のデータサービス利用料が含まれているため、2年目以降は年100シンガポールドルを追加で支払う必要がある。デザインは男子と女子向けがそれぞれあり、全部で3種類。バッテリの持ち時間は8~10時間。専用のウェブサイトで販売されており、今後はシンガポール国内の通信会社の小売店でも購入可能になるという。

  • CoordSafe創業者のJack Li氏

 ソフトウェアはシンガポールで開発しているが、ハードウェアは中国の工場で製造しており、6月に第2弾となる新しいデザインの製品が完成予定。こちらの新作は防水加工が施されているほか、文字盤とベルトが外せるようになるため、鍵などの貴重品やペットの首輪に付けて使うこともできるそうだ。

 シンガポールはアジアの中でも極めて治安の良い国である。開発元のCoordSafeのファウンダー Jack Li氏は「だからこそ、この国で暮らす親たちは子どもの身の安全について関心が高く、meLinkは彼らを助けることができる」と製品への需要について語る。直近はシンガポール国内での販売に注力し、その後、東南アジアの周辺国に販路を拡大していくという。

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