NTTレゾナント、今後10年の展望--「教えて!goo」がカギ

井指啓吾 (編集部)2014年04月23日 09時00分

 NTTレゾナントは4月22日、創業10周年にあたり、今後10年の課題や方向性、B2CとB2Bの各領域における事業展開について発表した。「goo」の各サービスの連携によりユーザーの満足度を高め、クラウド型モバイル検証サービス「Developers AppKitBox」ではグローバル展開を視野に入れる。

gooの今後は「教えて!goo」がカギに


NTTレゾナント代表取締役社長の若井昌宏氏

 2014年に17周年を迎えたポータルサイト「goo」において、ブログやQ&Aなど65サービスを展開するNTTレゾナント。同社ではこれまで「サービス起点」を軸として、どのユーザーにも同じサービスを提供してきた。今後、これを「お客様起点」とし、ユーザーとそのTPOに応じてサービスを最適化するという。

 同社代表取締役社長の若井昌宏氏は「これまでに各サービスはそれぞれ磨いてきて、それを結果として出してはいる。ただ、今のシステムはそれぞれ個別に存在しており、サービス間で連携できていない。お客様起点で考えると、こういったものを横通しし、1つのものとして提供していく取り組みが必要」と話す。

  • 「サービス起点」から「お客様起点」へ

  • 17周年を迎えたgooのUB推移

  • 「教えて!goo」のデータを活用

 具体的には、gooの中で最も利用者の多い「教えて!goo」のデータを活用する。教えて!gooは、疑問などを書き込むと他のユーザーが回答してくれるサービス。PCサイトの月間ユニークブラウザ(UB)は2800万、スマートフォンサイトのUBは2600万にのぼるという。このデータを検索ログやその他閲覧ログ、ユーザーの属性データと掛け合わせることで、(1)サービス横断レコメンド、(2)検索結果表示改善、(3)広告の新サービスを提供する。

 なお、同社が教えて!gooに注目した理由は「利用者が多いから」だけではない。「一般の検索やウェブ閲覧に比べてユーザーの関心事が細かいレベルで把握できる。さらに、そこからユーザーの次の行動が予測できる」(若井氏)。

  • サービス横断レコメンド

 サービス横断レコメンドでは、ユーザーの関心のあるテーマを教えて!gooから予測し、複数のサービス間でマッチングさせる。たとえば、子どもの風邪に関するテーマであれば、教えて!gooと「gooベビー」、「gooヘルスケア」の間で、それぞれのページに互いのコンテンツのレコメンド枠を設ける。若井氏によると、この機能を試したところ、1訪問あたりのPV数が1.6倍に、閲覧サービス数が2.3倍に増加したという。「(サービス横断レコメンドが)ユーザーに支持されていると受け止めている」(若井氏)。

  • おもてなし検索

 検索機能は、教えて!gooのデータと、ユーザーの現在の情報、属性、キーワードをもとに、ユーザーのTPOにあわせた結果が最上位に表示されるように改善する。たとえば従来、ニュース情報、Twitter情報、テレビ番組情報の順に上から並んでいたキーワードでも、ユーザーごとに異なる順で並ぶようにする。また、閲覧する時間帯によっても並び順が変わる仕組みとする。若井氏はこれを「おもてなし検索」と呼び、トライアル段階の同機能を「ユーザーから支持されるレベルまで高めたい」と話した。

 広告の新サービスでは、教えて!gooのデータからユーザーごとの興味関心を推測し、最適な広告を表示させる。若井氏は「広告主はROI(Return On Investment=費用対効果)を高められ、ユーザーは広告から“欲しかった情報”を得られるようになる」と説明する。なお、これまで試している限りでは、ノンターゲティングに比べ高い効果が出ているという。

B2Bは「プラットフォーム型ビジネス」を主軸に

 B2B事業の今後について、若井氏は「プラットフォーム型ビジネスに軸足を置きたい」と話す。今後、O2Oなどユーザーの行動に直結する構造化されたデータの蓄積、またスマートデバイス時代にふさわしい分析予測技術、ウェブ技術、スマートデバイス制御技術の獲得を目指す。これらをもとに「ヘルスケア(gooからだログ)」「生産性向上(Developers AppKitBox)」「地域/O2O型(J-anpi、goo地図)」の3分野でプラットフォームを発展させるとしている。

  • B2B領域の事業拡大について

 特にDevelopers AppKitBoxのグローバル展開には注力する。スマートフォンやタブレット端末をリモート操作できる同サービスを、2014年度に欧州などスマートデバイスの先進利用地域へ拡大。同時にスマートウォッチの技術検証も実施するとしている。

 なお、同社では2013年5月、Android関連ソフトウェアを開発していたカトマックを買収し、NTTレゾナントテクノロジーとしてグループ傘下に入れた。現在はAndroidだけでなくiOSにも力を入れているという。

  • 事業成長のシナリオ

 データの話に関連し、若井氏は会見の最後で「NTTグループでは各社がそれぞれユニークなデータベースを持っているため、連携強化を図りたい」とし、「グループ全体の成長を意識した取り組みも進める」と語った。

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