Kakaoが運営している「カカオトーク」は、2010年にリリースしたメッセージアプリの先駆けとも言えるサービスだ。すでに230カ国14言語に対応し、韓国を中心に1億4000万以上のユーザーがいる。当初、「カカオトーク」はユーザー数を伸ばすことを第1に考え、リリースして2年を経てメッセージだけでなくゲームやSNSなどの機能をそろえ始めながら、マネタイズを図った。
カカオトークでつながっている友だちとゲームをする「カカオゲーム」上において、1000万ダウンロードを超えたゲームが9つ、2000万ダウンロードを超えたゲームが2つあり、韓国のソーシャルゲーム市場の上位を独占している。「すでにカカオのプラットフォームで成長した企業がIPOやM&Aを果たした事例もある」とイ氏は語る。Instagramのような写真アプリの「カカオストーリー」は、すでに5500万ユーザーを突破しており、コンテンツ、コマースなどを含むプラットフォームへとなりつつある。
「ウェブからモバイルへのシフトが急速に起きている。始めはメッセージから入ったが、最近はソーシャルグラフに重きを置いた事業を展開している。今後はコマースやゲーム、写真や動画などの領域をさらに広めていきたい」(イ氏)
カカオトークが提供するIP電話による無料通話は、国内のキャリアにおける通信の規制をどうするかという議論にまで発展しているという。通信事業において、カカオが既存事業に対してイノベーションを起こそうとしている中、「政府や既存の団体や事業者と対話の場を設け、ともに社会をつくるための議論をすることが大切だ」とイ氏は語る。
Google アジア太平洋地域担当社長のTemsamani氏は、モバイルへの急速な変化はますます起こるだけでなく、根本的なネット利用の前提を考えなければならない時代が来るという。
2013年の現在において、モバイルインターネットの利用は欧米よりもアジア太平洋地域からのアクセスが多く、2019年にはアジアのモバイル利用は米国の2倍近い状況になるのではと予想。すでにYouTubeのアクセスの約半数はモバイルだとTemsamani氏は語り、先進国以外の地域が多いアジアにおいて、モバイルからネット利用を始める潜在的なユーザーがいる地域がこれからのグローバルにおけるイノベーションの可能性があるという。
「モバイルからのネット利用の傾向は、ますます強くなる。今の私たちはウェブからモバイルへと移行する経験をしているが、今の若い世代やこれから育つ世代のほとんどはモバイルからネットに触る世代だ。この経験と価値観の違いは大きい。モバイル経験の長いアジアが、これからのグローバルを牽引することは大いにありえる。新しいイノベーションはアジアから起きるかもしれない」(Temsamani氏)
これらを踏まえた上で、Temsamani氏は未来を見据えた3つのトレンドについて語った。
1つ目は「Everyone is Connecting」だ。モバイルの発達で世界中の人たちや情報にいつでもどこでもつながる環境ができたことで、これまでにない新しいイノベーションが起きる可能性は大きいという。
2つ目は「Everything is Connecting」だ。モバイルインターネットの将来はIoT(Internet of Things)だと語るTemsamani氏は、Googleが直近で買収したサーモスタットのNestなどを例にあげながら、人とモノとがつながることでエネルギーマネジメントなどを通した効率的な生活を送る環境ができつつあるという。
3つ目は「Every Industry is Changing」だ。モバイルの発達、IoTへのシフトは、旧来の工業のあり方をシフトさせるという。「メーカーは、もはやハードかソフトかではなく、両方を兼ねそろえたものへと変わっていく。これからの企業は、ますますソフトウェア開発が求められる時代になる」(Temsamani氏)
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