3月25~26日に開催されているウェアラブルテクノロジのカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo 2014」。25日の「不可能を体験する:Sulon Technologies によるAugumented Virtual Reality Game」と題したセッションでは、Sulon Technologiesが開発したCortexを通じた新しいエンターテインメントの可能性について、同社CEOのDhanshan Balachandreswaran氏が語った。
Sulon Technologiesが提供するCortexは、没入型のゲーム体験を提供する独自のVR技術だ。現実空間を解析しディスプレイを通じてゲーム空間に変換することができる。
Dhanshan氏は、開発のきっかけとなった自身の夢について語り始めた。
「昔、部屋で寝ていた時にゾンビに襲われる夢を見た。その夢は、自分が今いる部屋にいきなりゾンビが現れるもので、夢なのに現実だと勘違いするほどの体験だった。その時体験した夢を、実際に再現できたらまったく新しい経験が提供できるのでは、と考えたのがサービスのきっかけ」(Dhanshan氏)
映画やアニメのような世界を体験するためには、カメラやプロジェクタを用意したり、ヘッドマウントディスプレイを装着したりするのが一般的だが、装置を用意するために数百万円以上の費用がかかり、また一度設置した設備を移動したり、空間を変更したりすることは容易ではない。そうした問題を解決するために、安価で持ち運びができ、あらゆる場所で体験ができる方法を模索し、AR(Augumented Reality)やVR(Virtual Reality)などの研究を行ってきたという。
そしで開発したのがCortexだ。Cortexは、ヘッドマウントディスプレイにスマートフォンやタブレットなどを差し込むことで、今いる現実空間を解析し、現実空間に沿ったバーチャル映像を投影する仕組みだ。それによって、どんな物理的空間でもバーチャル空間の中に取り込むことができる。
「映画のスタートレックの中にある、Holodeckと呼ばれる現実とほとんど変わらないSimulation Realityの世界を映し出すことができる装置を、ヘッドマウントディスプレイで再現したようなものだ」(Dhanshan氏)
空間認識技術を応用し、空間を分析してゲームのアトラクションをディスプレイに映し出す。それによって、現実空間を利用して、ゲームを体で体験することができ、没入性の高い体験が可能となる。
Cortexはプラットフォームとしての機能を持っており、アプリを切り替えることで別のゲームを楽しむことができる。さまざまなゲームメーカーと一緒に、Cortexを活用したゲームを開発していきたいという。将来的には、新築のマンションで家具を揃えた映像を映し出して、実際に暮らす時の様子をシミュレーションしたり、映画の中の登場人物の一人として自分自身が入り込み、映画館で体を使って映画を体験することも可能だとDhanshan氏は語る。
すでにデベロッパーキットの予約を受け付けており、デベロッパー向けのハードウェアの発売も予定しているという。
「リアルとバーチャルを融合し、まったく新しいエンターテインメントが提供できる仕組みを作っていきたい。ウェアラブルテクノロジと空間認識を応用することで、今までにないソリューションを見出すことができる」(Dhanshan氏)
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