「受験サプリ」開発チーム40人を統括--元研究志望のリクルート28歳・土井さん

藤井涼 (編集部)2014年03月10日 09時00分
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 この連載では、現在28歳の筆者が、同じく20代で活躍する大企業の若手社員と、同世代ならではの共通点や仕事への思い、さらには休日の過ごし方や好みの本など幅広いテーマについて語り合うことで、大企業や若手ビジネスパーソンの実態を明らかにしていきます。

 今回はリクルートテクノロジーズの土井浩司さん、現在28歳です。2010年にリクルート(現リクルートホールディングス)に入社し、リクルートグループのITやネットマーケティング製品を開発する部署に配属。2012年10月に同部署がリクルートテクノロジーズへと分社化したことにともない同社へ転籍しました。現在はITマネジメント部 IT戦略グループで、大学受験生向けのネット予備校サービス「受験サプリ」の開発チームリーダーとして約40人を統括しているそうです。

 受験サプリは、無料で100大学の過去問題やセンター試験の問題集をダウンロードできるほか、ウェブ上でセンター模試を受けられる学習サービス。月額980円を支払えば、PCやスマートフォンからプロ講師による予備校さながらの講義を好きなだけ受けることが可能です。1月末には無料会員数が累計100万人を突破しました。なお、受験サプリは、グループ会社のリクルートマーケティングパートナーズが運営しており、リクルートテクノロジーズは主に開発を担当しています。


リクルートテクノロジーズ ITマネジメント部 IT戦略グループの土井浩司さん

リクルートなら「成長のレール」が決まらない

――まず、リクルートを選んだ経緯を教えて下さい。

 実はリクルートへ行こうとは全く考えていませんでした(笑)。私は大学院でずっと生物系、特にウイルスを専門にした研究をしていたので、就活でもずっと研究職をメインにして製薬会社やメーカーを受けていました。ただ、その中でふと自分はどのような環境で働いていきたいのかを考えることがありました。メーカーだと何年目にどういうことをして、という話を聞くことが多くて、ビジョンとしては明確なのですが成長のレールが決まっている気がして、すごく不安に感じました。

 そんな時、たまたまリクルートの人と知り合ってインターンシップに参加できたのですが、そこですごく社風にショックを受けました。社員1人1人のバックグラウンドがそれぞれ違って、価値観ややりたいことも全く違う。そういう人たちが集まって1つの目標に向かっていくことに凄くエネルギーを感じたんです。また、社内で誰ひとり同じキャリアを歩んでいないことを知って、「この会社にはレールなんて無いんだな」と感じ、自分がやってきたこととはズレてしまうのですが、数年後を考えた時に成長できる企業はリクルートだと感じて入社を決めました。

――確かに研究職志望からリクルートへ入社する人は少なそうですね。入社後はどのような業務を担当してきたのでしょう。

 最初の半年間は、中古車情報を掲載する「カーセンサー」の営業研修をしていました。新規開拓営業で東京23区の中古車屋さんを自転車や電車で回ったんです。リクルートはやはり営業力が強みの会社だと思いますし、そこで社会人としてもたくましくなりましたね。いまは社内で数億円のプロジェクトを回すこともあるのですが、研修時代に自分の足で稼ぐことがどれほど大変なのかを、身をもって体験することができたのは本当に良かったと思います。

 その後は3カ月ほど社内研修があり、ITビジネスの企画からリリースまでの一連のサイクルをすべて1人で経験しました。ユーザーヒアリングをしてどのようなニーズがあるかを把握し、それらをサービス要件まで落としこんで形にするという内容です。なので、営業もあわせるとほぼ1年研修をしていたことになりますね。正直、会社に貢献できているのかと悶々とすることもあって、現場配属されてからは「とにかくアウトプットしよう」と考えていたのですが、そんな矢先に受験サプリの立ち上げメンバーとして関われることになりました。

――配属されていきなりウェブサービスの立ち上げですか。もともと研究をしていた土井さんが、なぜ抜擢されたのでしょう。

 PCは学生時代に研究データの分析やシュミレーションに使うくらいで、プライベートではネットをする程度なので、正直ITの知識はほとんどありませんでした。なので、今後の成長に期待して選んでもらえたのだと思います。最初に担当したのは、研修でやっていたような、顧客(受験生)のニーズがどこにあるのかを理解して、サービスやシステムに落とし込む作業です。企画担当と打ち合わせをしながら1つ1つを具体化し、その内容をエンジニアと実際のシステムに反映させていきました。最初は右も左も分からない状態から始めたので苦労しましたが、その分学ぶことも多かったです。

――サービスを開始した2011年頃は、今ほどオンライン学習は注目されていなかったように思います。

 当初と比べると、サービスとして盛り上がってきたのは2013年に入ってからですね。やはり2012年にオンライン動画に対応したことが大きかったと思います。当時のEラーニングはデザインが古かったり、企業の中で使うものが多かったのですが、個人的にはずっと「Hulu」(月額980円で映画やドラマ、アニメが見放題のサービス)のような学習サービスを作りたいと思っていて、手探りでしたけど最新の技術を取り入れながら、今の形へと変えていきました。ちなみに、いまもHuluは有料課金ユーザーですよ(笑)。


2012年にオンライン動画に対応した

――確かにスマホでも見られるオンライン動画は便利ですよね。1月には会員数が100万人を超えたそうですが、どういったユーザーが利用しているのでしょう。また、競合にあたるサービスは。

 もともと、塾に通わせる余裕がない家庭や近くにいい予備校や学習環境がない人に、低価格で高品質な教育を届けたいという思いがあったのですが、実際には都心部の利用者が多いですね。また、受験生だけじゃなくて高校1年生など早い段階から使い始めている人もいます。最近は、高校から学習ツールとして導入したいというご相談を受けることもありますし、公式ウェブサイトに受験サプリのロゴを掲載していただいている学校もあります。特に年齢は制限していないので、英語の復習などで利用されている社会人の方もいますよ。

 ユーザーが受験サプリと比較するサービスとしては、たとえばリアルの予備校などが挙げられるかもしれません。予備校に近い品質のサービスを低価格で届けたいという思いがあります。もう1つは、もともと教育業界で事業を展開している企業が、ここ半年ほどでどんどんウェブにシフトしてきているのでライバルになるのかなと思います。ただ、低価格で質の高い学習サービスが増えていくこと自体は望ましいことですね。


「受験サプリ」の利用イメージ

――土井さんは、受験サプリの開発チームを統括しているそうですが、40人をまとめるのは大変じゃありませんか。

 立ち上げ当初はチームも10人ほどしかいなかったので細かいところまで見れていたのですが、さすがに人数が増えてくるとそれも難しくなりました。これまで見てきたところを見れなくなる気持ち悪さがある一方で、自分が見てしまうと全体の作業が進まなくなるジレンマがあって、最初はすごく悩みましたね。ただ、人に任せた方が上手くいくこともたくさんあります。さまざまなタイプの人がいるので、僕は自分の強みが生かせるところだけサポートしていく、その役割分担や責務の範囲をしっかりと見極めることが大切だと思っています。

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