「7」「390.53」「100万」--3つの数字で振り返る2013年のアップル(後編)

 2012年6月から毎週Apple関連ニュースを振り返る記事を担当してきたが、2回目の年末を迎える。2013年はAppleにとって、どんな1年だったのだろうか。そして来年どのようなテクノロジに注目すべきだろうか。前編で紹介した「7」に続き、2013年のAppleにまつわる数字をピックアップし、振り返っていく。

「390.53」--ライバルと、miniと、5cと

「Designed by Apple in Calfornia」の文字がどの製品にも入っている
「Designed by Apple in Calfornia」の文字がどの製品にも入っている

 Appleは30年の歴史を持つコンピュータメーカーで、新興企業が次々に産声を上げるシリコンバレーの中で古株になってきた。特に全ての製品に記される「Designed in California」の文字は、シリコンバレーの地元企業としても信頼も厚い。Appleが元気で勢いが良いことが地域の空気を明るくする、そんな雰囲気すら感じる。

 そういった意味で、2013年前半のAppleの株価低迷は、非常に暗いニュースとして受け止められた。特に、過去最高の株価と米国の企業で最大の時価総額を誇った直後だっただけに、そのショックも大きかったはずだ。

 Appleの株価は、2012年6月19日に終値で702.10ドルを付け、過去最高を記録した。しかしその後はするすると下がり続け、2013年が始まるまでに600ドルを割り、4月19日には年初来安値の390.53ドルを付けた。その後再び390ドル台の2番底を経験すると、再び株価が上がりはじめ、原稿執筆時点では12月5日に付けた567.90ドルまで回復し、年初来高値を更新している。

 株価低迷の要因としてよく語られてきたのが、Andoridとの競争激化と、これによるスマートフォン・タブレットビジネスからの利益圧縮だった。

株価低迷の要因--ライバル対策とコスト

 iPhoneこそ発売直後の2四半期は必ずトップセールスを記録するが、Samsungの新製品が発売されるとすぐにトップの座を譲り渡す。タブレットに至っては、GoogleのNexus 7、AmazonのKindle Fire HDという2つの7インチサイズの登場で、価格面で高いAppleは不利な状況だ。特にAmazonは、Kindleから利益を出さないともいわれており、Kindle Fire HDの製造原価と販売価格は限りなく等しい。

 米IDCが11月12日に発表したデータによると、2013年第3四半期のプラットホーム別の出荷台数のシェアはAndroidが81.0%を占め、iOSは12.9%。iOSの出荷台数は前年同期で25%以上成長しているにもかかわらず、シェアを1.5%落としている。

 そこで、2012年11月に画面サイズを小型化し、iPadよりも安い329ドルに設定したiPad miniを発売。2013年にはRetinaディスプレイに対応したiPad mini Retinaディスプレイモデルを発売した。同時に、プロセッサの世代としては2世代前のものを搭載しているiPad 2を399ドル、iPad miniを299ドルにそれぞれ値下げし、併売を続け、iPadをより手軽に入手できるようにしている。

 しかし、こうしたライバル対策は、「販売価格が安いiPad miniが売れれば売れるほど、iPadから得られる利益が圧縮される」という法則を生み出すことにつながってしまった。過去最高の株価からの調整局面と、こうしたビジネス構造の変化が重なることで、Appleの株価の下振れを招く結果となった。

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