欧州人権裁判所、卑劣なコメントへの対応はニュースサイトの責任との判決

Dara Kerr (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部2013年10月17日 11時52分

 ニュースサイト上の記事に対して書き込まれた卑劣で口汚いコメントをそのままにしておいても該当サイトは責任を問われない、、、いや、問われるのだろうか?

 The Wall Street Journal(WSJ)の報道によると、欧州人権裁判所(ECHR)は現地時間10月16日、エストニアの人気ニュースサイトであるDelfiが、同サイトの記事ページ上に書き込まれた脅迫的かつ攻撃的な大量のコメントを放置していたことに対して責任を認める判決を下したという。

 WSJによると、2006年1月に掲載された問題の記事は、あるフェリー会社が就航ルートを変更した結果、沖合の島々へと通じる道路の開通が遅れたという内容であり、それによって読者は激怒することになったという。同記事に対してはおよそ185件のコメントが寄せられ、そのうちの20件程度は同フェリー会社の多数株主に対する脅迫であったという。

 同フェリー会社は、Delfiが公の場で脅迫的なコメントのやり取りを許した点を不服として地元の裁判所に提訴し、勝訴した。その後、Delfiはエストニア国内の裁判所に控訴したが、再び敗訴したため、ECHRでの裁判に持ち込んだのだった。しかし努力のかいもなく、ECHRでも同フェリー会社の主張と、エストニアの裁判所の判断が支持されることになった。

 WSJによると、ECHRの判決文には「原告企業(Delfi)は問題の記事を公開することで、同フェリー会社やそのマネージャーたちに対する否定的な反応が引き起こされると予想できたはずであり、Delfiというニュースサイト上のコメントの一般的な評判を考えれば、否定的なコメントが批評として許容される限度を逸脱し、不当な侮辱やヘイトスピーチのレベルに達するリスクが通常よりも高いということも認識できたはずだ」と記されているという。

 WSJの報道では、ECHRによる判決が下されたとはいえ、この判決が他の国々のニュースサイトに影響を与える可能性はないだろうと伝えられている。同判決は、Delfiの記事ページ上に書き込まれたコメントによって被害を受けた人たちの人権という観点に基づいて下されたものであり、国際法上の判例にはならないという。

 米国内の多くのニュースサイトは、脅迫的な内容や、違法な内容のコメントが投稿されないよう、コメントのモデレーターを配している。また、一部の会社ではコメント管理という手段も採用されている。情け容赦のないコメントが投稿されることで有名なYouTubeは9月、動画の投稿者がその動画に関するコメントを管理できるよう、強化されたモデレート機能を搭載したツールを順次展開し始めている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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