「あと30年は起業家でいたい」--スマポを楽天に売却した若きシリアルアントレプレナー - (page 3)

岩本有平 (編集部) 江口晋太朗2013年10月18日 15時12分

 良いサービスはすでに誰かがやっている、ということがあります。しかし、大事なのはどれだけインパクトを与え、世の中を変えていくかです。もっと世の中がこうなったらいいなと考え、その考えと合ったビジネスモデルを取り入れていくことが大切です。

 「来店ポイント」という考え自体は海外にもありますが、加盟ブランド数などは海外と比較してもスマポのほうが多く、中身は似ていてもサービス設計などを含めると似て非なるものです。単純に同じ形を持ってきても機能しません。思想や市場環境などによって、どのように最適化を図っていくかが大事なのです。

 面白いビジネスのアイデアは今もたくさんあります。あとは、どの市場を選びどのタイミングでやるかが大事なだけです。スマポは、そうした意味でまさにタイミングをとらえることができたと思っています。

--起業から2年でのバイアウトということで、周囲からさまざまな評価を受けていると思います。

 サービスの本質は、「誰が運営しているか」ではなく、「いかにユーザーに対してよい体験を提供できるか」です。そうした意味で、上場か買収かという議論もあまり意味はありません。もっと言えば、ポイントサービスという分野自体、規模が強みの1つになる業界でもあるため、独立性に意味があるとも思っていません。サービスとして良いものを追求していこうとした結果として、今回のような形になったという意味では満足していますし、今後さらにどのように大きくしていくかをこれから考えていきたいと思います。

 また、私自身もこれで終わりではないし、引退してハワイで暮らすといったわけでもありません。次にもっと大きな挑戦をしていきたいと考えています。

--大きな挑戦という言葉がありましたが、起業家としての今後についてどのようにお考えでしょうか。ロックアップはありますか。

 ロックアップ期間については公表できませんが、一般に比べて長くはないと思います。ですが少なくとも、数年は楽天傘下で事業を伸ばしていくことに専念したいと考えています。シリアルアントレプレナーと言われるのであればこそ、「売って終わり」ではなく、事業を成長させて、買収元から価値を見出してもらうようにしなければいけません。ある程度事業が順調に進み、自分自身がいなくても動く体制ができたら、また新しい挑戦をしたい。それまでは、今の場所で懸命に頑張っていきます。

 次に何をするかを考える余裕はまだありませんが、もっと大きなことをやれたらと思っています。

 あと30年は起業家でいたいと思っています。3年で1打席だと考えると、あと10打席残っています。その中で、世界をどのくらい変えられるかが勝負です。まだまだ人生始まったばかりですし、今回は予選リーグみたいなものですよ。

--その際、海外は視野に入れていますか。

 ある程度大きなことをやるためには、海外に目を向けなければいけないですし、海外市場を相手にしたいと常に考えています。予選リーグからワールドカップです。

 しかし、大事なのは始めにグローバルありきではなく、ベースとなる市場を定め、その市場で勝つためにはグローバル展開が必要、という考えでなくてはいけません。まずは市場ありきで、そこでチームを組成する考えを持つことです。そうした意味では、日本という市場はチーム組成はとても良い環境です。逆にシリコンバレーはプレーヤーも多く、優秀な人の引き抜きも多いため、チーム作りが大変だと思います。

--シリアルアントレプレナーとして心がけるべきことはありますか。

 まず考えるべきは、サービスを中心にチームを組成することです。何をしたいかがまず明確にあり、それを実践したい人たちが集まることで成功の確率は高まります。

 チームをまず先に作ってからそこから何をしようか考えると、会社ありきで考えてしまう恐れがあり、失敗する可能性があります。サービスファーストであることが、シリアルアントレプレナーとして重要だと私は考えています。

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