Amazonが過去20年近くにわたるユーザーの購入記録をすべて保持していることに薄気味悪さを感じる人もいるかもしれないが、過去に印刷版書籍を購入していれば、そのことでメリットが得られる可能性がある。
米国時間9月3日、Amazonは「Kindle MatchBook」プログラムの提供を予定していることを発表した。MatchBookは、Amazonの開設以降に購入された一部の印刷版書籍の「Kindle」版を顧客に提供するプログラムだ。
このプログラムには、少なくとも初期の段階では、注意すべき点が2つある。1つ目は、対象になる書籍の範囲は決して広くはないということだ。2つ目は、一部のデジタル版は無料で提供されるが、そのほかのデジタル版では、最初に印刷版を購入した時期に関係なく最大2.99ドルの追加料金がかかるということだ。
かなり前に購入された印刷版書籍のKindle版をデジタル版の通常価格より低価格で提供することが、どのようにして出版社の利益拡大につながるのかを理解するのは難しい。しかし、印刷版書籍の購入者に数ドルの追加料金でデジタル版を提供することで、これまで存在しなかった追加売上を得られる、と考えることは可能だ。
Kindle MatchBookは10月に開始される予定だ。対象となる1万件以上のタイトルには、Ray Bradbury氏やMichael Crichton氏といった故人の作家から、John Irving氏やNeil Gaiman氏、Wally Lamb氏といった現役の人気作家によるものまで、さまざまな作品が含まれる。また過去、そして今後購入される印刷版書籍が対象となる。
これはKindleが提供する全カタログのごく一部でしかないが、Amazonによると、同社は対象書籍のリストを拡充していく予定で、同社の出版部門Amazon Publishingは全タイトルをKindle MatchBookの対象にする計画だという。
さらに、購入した印刷版書籍のMatchBook版の価格は段階的で、無料で提供されるものもあるが、それ以外は99セント、1.99ドル、2.99ドルのいずれかだ。Amazonは、新プログラムについて説明するサイトを開設しているが、各タイトルの価格に関してはまだ詳細な情報を明かしていない。
利点として、MatchBookで提供されるKindle版はKindleデバイス以外でも閲覧可能で、PCや「Mac」、「iPad」、「Android」タブレット、スマートフォンでも読めることが挙げられる。これは、「Amazon Prime」サブスクリプションの一部である「Kindle Owners' Lending Library」では不可能だ。その名が示す通り、Kindle Owners' Lending Libraryでは、Kindle所有者しか書籍レンタルを利用することができない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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