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NTT Com「グローバルクラウドビジョン」の強みと狙い:後編

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 前編では、NTTコミュニケーションズの「グローバルクラウドビジョン」を担うインフラなどを紹介した。後編では、企業向けのプライベートクラウド「Bizホスティング Enterprise Cloud」(以下、BHEC)に寄せられる企業のニーズや、実際の取り組みなどについて、引き続きNTTコミュニケーションズのクラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門 担当部長である和泉雅彦氏に聞いた。

ビジネス機会を損失しないためにもクラウド

 クラウドへの期待として、「当初はサーバやネットワークなどのITリソースの投資抑制という要素が大きかった。最近は運用にかかる人件費の削減期待も大きい」と和泉氏は語る。確かにリソース管理やITガバナンスの維持は、地味で骨の折れる作業だ。海外現地法人でサーバやPCが何台設置されているのか、どのような管理をしているのかなど、把握できないと悩む企業は多いはずだ。

NTTコミュニケーションズ 和泉雅彦氏(クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門 担当部長) NTTコミュニケーションズ 和泉雅彦氏(クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門 担当部長)

 こうした課題に対し、「BHECはサーバの集約だけではなく、資産管理も含めて、リモートで集中的に一元管理する手段としても有効」と和泉氏は語る。

 自前の投資をアウトソースすることで、周辺環境が効率化することへの期待も強まっているという。海外の支店を立ち上げたり、M&Aで買収した企業のシステムと統合したりする場合、環境を整えるだけで半年や1年もかけていては、事業を取り巻く環境も変ってしまうだろう。迅速にビジネス機会を捉えるには、やはり選択肢としてクラウドは外せない。BHECは最短5営業日後に利用を開始することも可能だという。

 「BHECでは、国内で展開していたテンプレートをそのまま海外でも展開することで、企業サイドでITのバージョンアップやフットプリントの拡大をスムーズに実行することが可能。スピードが最優先されるビジネスにおいて、参入も撤退も迅速に実現できるクラウドを活用すれば投資も無駄にならない」(和泉氏)

2つの活用事例

 具体例として、NTTコミュニケーションズによれば、グローバルに展開するある製造業企業は、IT関連コストのTCO削減率が35%に達したという。BHECとオンプレミスを併用することで、海外拠点も含めた全拠点のサーバの約1600台を約500台に削減し、オンプレミス拠点数も180拠点から50拠点まで減らした。通信事業者も20社と契約していたが、これもグローバルネットワークに対応したNTTコミュニケーションズ1社に一本化したという。

 また、ある流通業の企業は、M&Aによって海外店舗数が一気に拡大したことで、グローバルレベルでの業務プロセス統合やガバナンスの確保が課題となっていた。そして日本の本社への集権型を志向し、世界中のどこからでも利用できるITシステムを目指した。グローバルに分散していたシステムを全て廃止し、VPNサービス「Arcstar Universal One」を活用してグローバルの30拠点を結ぶことで、BHEC上の仮想マシン1カ所に集約。日本本社による一極集中管理が実現したということだ。

 こうした一方で、BHECはOpenFlowに基づくネットワーク仮想化技術を導入していることも注目のポイントだ。コントロールプレーンとデータプレーンを分離してネットワークを高度に制御するSDN(Software-Defined Network)のアーキテクチャを取り入れ、データセンター内部はもちろん、外部データセンターとのネットワークも仮想して、カスタマーポータルでコントロールできるようになっている。つまり、データセンター間を仮想ネットワークで結ぶことで、あたかも1つの巨大なデータセンターとして拡張利用できるわけだ。

クラウドを選ぶときの視点

 仮想ネットワーク技術により、海外のデータセンターへのバックアップを可能とする「グローバルデータバックアップ」も興味深い。これは、平常時は必要最小限の帯域を用いてプライマリ(日本国内)のストレージにバックアップを実行し、大量データのバックアップやレプリケーションが発生したらフレキシブルに帯域を拡張(ブースティング)して、海外のデータセンターへ高速なデータ転送を可能にするというものだ。最近では、BCPによるグローバルDR(災害復旧)施策の一環としても利用されているという。DRやバックアップサイトは、もはや海外に設定する方が安全という認識なのだろう。

 最後に、和泉氏は、クラウドを選ぶ際に失敗しないように、次のような視点をもつべきだと強調した。

「クラウドサービスはIaaSだけを提供すれば完了するものではなく、マイグレーションの構築力とともに企業に最適化した環境を、クラウドメニューの中から適切に選定して提供するコンサルティングスキルが必要となる。そのため、マイグレーションの専門部隊を持っているか、困った時にサポートしてくれる運用サービスやセキュリティメニューが充実しているか、OSのみならずミドルウェアまで標準で提供するパッケージがあるかを見る。そして何より、国内だけにとどまらないグローバルへの対応力があることが重要だ」

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