IT部門の強みは、技術的なノウハウにある。こういったノウハウは何年にもわたって蓄積され、多くのITプロフェッショナルのキャリアを表す名刺とも言えるものになっている。しかし、例えばUNIXを20~30年にわたって使い続けてきた技術者に対してLinux環境への移行を指示する場合、その技術者のキャリアは大変なものになる可能性もある。
こういった移行をスムーズに行う(必要に応じて)には、その技術者個人に対して新たなプラットフォームを与えるとともに、移行に必要となるトレーニングとサポートを提供するのが良いだろう。その技術者があくまでも変化を拒む場合、旧プラットフォーム上で稼働し続けるシステムの保守という役割を用意できる場合もあるかもしれない。そういった役割を用意できないのであれば、最後の手段として、当人が作業を続けたいプラットフォームを採用し続けている他の雇用先を探すよう、促さなければならない場合もあるだろう。どのような場合においても、プラットフォームに対する忠誠心を抱いている従業員に対しては、敵意を抱かれる(そしてプロジェクト作業への協力を拒否される)前に、早急に手を打っておくのが重要である。
プロジェクト管理テクニックやツールが進歩しているにもかかわらず、プロジェクト管理は依然としてIT部門の弱点となっている。こういった弱点が生み出される理由として、プロジェクト内におけるさまざまなコミュニケーションが不足していたり、プロジェクトマネージャーによる「さまざまな角度からの考察」や作業状況の直接的、かつきちんとしたチェック(プロジェクト進捗表上での状況を見るだけではない)が十分に行われていなかったり、IT部門とプロジェクトチームのエンドユーザー側とのコミュニケーションが機能していないということが挙げられる。
プロジェクト作業において最高の結果を保証するには、プロジェクトの規模を小さくし(管理しやすくする)、オープンなコミュニケーションを奨励(そして強制)し、市場に出回っている共同作業型のプロジェクト管理ツールを活用するのが最善の道だ。また、あらゆるプロジェクト作業の事後分析を行い、何が功を奏したのか、そしてより良い結果を出すためにできることがあったのかを洗い出して、その知識を将来のプロジェクトに生かすというのも重要である。
ドキュメントはIT部門においてあまり重視されておらず、ほとんどのIT作業において一番の弱点となっている。ほとんどのIT部門はアプリケーションの保守に50%以上の時間を費やしているという報告も驚くほどの話ではない。アプリケーションがもともと行っていること(そして、既に行った保守作業の履歴)がドキュメント化されていれば、保守にかける時間を削減できるはずだ。これには、作業内容を自動的にドキュメントにするような新たなアプリケーション開発ソフトウェアを採用するという方法のほか、アプリケーションのドキュメント化と、その成果物の品質保証のための時間をプロジェクト工数に組み込んでおくという方法が考えられる。
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