翌日には二人がCNBCの番組に電話をかけてきて生放送中に派手にやりあう、という出来事もあった。
こちらでは二人の間で過去にあった取引のいきさつ——「昔、ある株式をうまく処分できないからといって、オレのところにAckmanというヤツが泣きついてきた……(略)……オレはガキの頃、クィーンズにある柄の悪い学校に通っていたが、そこでは身体の小さなユダヤ人の子供がいじめられて校庭で泣きべそをかいている、という光景をよく見かけたものだった。オレの事務所に初めて来たときのAckmanは、ちょうどそんな子供のようだった」というアイカーンの口撃から始まって、30分近くにわたって延々と二人の舌戦が続いた。
その時の様子を「ウォールストリート中のトレーダーが仕事の手を止め、二人のやりとりを囃し立てたり、拍手喝采していた」と、Vanity Fairは書いている。
こういう御仁に大量の株式を握られた経営者の心境はまさに冷や汗もの、といったところかもしれない。
ところで、一体どうしてこんなことになったのか。
そのざっくりとした経緯をVanity Fairの特集から拾ってみよう。
2011年夏頃、Indago Girlsという通称で知られる投資関連の超高級調査会社(正式な社名はThe Indago Group)の女性リサーチャーらが、Herbalifeを標的に株価の先安を見込んで空売りをかける「ショート」を仕掛けたらうまくいきそうだというアイデアを、クライアントのヘッジファンドに売り込んだ。
話を聞いたクライアントの中で、このアイデアに興味を示したのが二人。一人はPershing SquareのAckman氏で、もう一人はGreenlightのEinhorn氏だった。ただし、二人ともすぐに何らかの行動を起こしたりはしなかった。
この二人の距離感もなかなか微妙なようで、一時期は「ツーカーの仲」だったが、その後に関係が冷え込み、さらに「ただの友だち」の段階も通り越して、今では電話をかけることもないような疎遠な間柄になってしまったという。
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