3Dプリンタをはじめとした機器を使った“ものづくり”に注目が集まりつつある。そうした中、3月1日にお台場・テレコムセンタービル内に、ものづくりに特化したコワーキングスペース「MONO」がオープンした。
MONOは、3Dプリンタやレーザーカッターなど、ものづくりのための基本的な設備を設置し、スタートアップや個人が製品のプロトタイプを開発できる。運営は建築設計事務所の後藤建築事務所。企画やプロデュース面は、天王洲にコワーキングスペース「Samurai Startup Island(SSI)」を運営するサムライインキュベートが担当する。
MONOは、東京都の手掛ける臨海副都心MICE(Meeting、Incentive、Convention、Exhibition)拠点化推進事業の1つとして、国内およびアジア各国の起業家への起業、経営、進出支援を目的として作られた。「(海辺で交通のアクセスがよくないという)立地の問題もあり、普通のコワーキングスペースを運営するのは難しいと考えた。そこで、まだ日本にないものづくり支援のための場所にしたらいいのでは、と提案したのが始まり」とサムライインキュベートの安藤庄平氏はMONO設立の経緯に関して語る。
スペースの利用には固定席プラン(月額3万1500円)とフリー席プラン(月額2万1000円)、1デイドロップイン(1日2000円)の3つのプランが用意されている。広い空間には、イベントスペースや図書コーナー、仮眠室なども設置。3Dプリンタやレーザーカッター、CNCシステムなどの工作機械、オシロスコープなどが用意され、入居者は自由に利用できる。
「サンフランシスコやシリコンバレーのように、まわりが静かで集中できる場所」と安藤氏が語るように、テレコムセンターは渋谷や六本木といったITスタートアップが集まるエリアとは異なり、周辺には商業施設などはほとんどない。ただしビル内には飲食店やコンビニエンスストアがあり、開発に没頭できる環境となっている。
また、道路を挟んで向かいにある東京都立産業技術研究センターとは協力関係にあり、共同で勉強会を開催したり、試験用の機器のスムーズな利用申請ができるような取り組みをしたりしていく。「これまでITとものづくりの連携が取れる場所は少なかった。MONOを通じて、ものづくりスタートアップを生み出していきたい」(安藤氏)。
サムライインキュベートでは今後、MONOに加えて天王洲のSSIや、大田区などの町工場を連携していく計画があるという。「スタートアップがサンプルやプロトタイプを開発し、ビジネスモデルを作る。そして町工場がプロダクトを製造するといったように、ものづくりに関わる人たちが活きる環境を作っていきたい」(安藤氏)。
入居対象については、小規模なメンバーで新しいサービスやプロダクトを作るスタートアップなど「個人や起業したての人たちに来てもらいたい」(安藤氏)という。士業関係の入居者もすでに決まっているという。また今後は週に一度の体験ツアーや、親子参加を前提としたワークショップなどで、幅広い層が3Dプリンタやレーザーカッターなどに触れられる機会も提供していく。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」