プラス発言で遊びやすい雰囲気作りを--TCGヴァイスシュヴァルツ「初音ミク -Project DIVA- f」 - (page 2)

プラスの発言でネットもリアルも入りやすい雰囲気作りを

キャラクターカード
キャラクターカード
(C)SEGA / (C)Crypton Future Media, Inc. www.crypton.net

 ちなみに、TCGの市場規模は1000億円以上とも言われ、年々拡大傾向にある。そして各社からの新規タイトルや新たに参入する企業も少なくない。この状況について「よく考えられている商品も多く、常に危機感は感じています。ですが、ユーザーの趣味嗜好にあわせた選択肢が多数あるということは、市場にとって健全だとも考えています。もちろん、ブシロードからもいろいろな選択肢を用意しています。それぞれにゲーム性や味わいが異なるものですから、ヴァイスシュヴァルツに関しては、好きなタイトルが出たときに手に取っていただければいいと考えています」と語る。

 一方、デジタル面に目を向けるとカードバトルタイプのソーシャルゲームが隆盛し、それがカードゲームとも呼ばれることも見受けられた。田中氏はそれらについて、数年前のものであればカードのパラメーターの少なさやルールの単純さなどからアナログTCGとは違いすぎるものであるとしながらも、今後に関してはアナログTCGと近い楽しみ方ができるゲームの可能性も示唆する。

 「自社でもスマホゲームのブシモで『Chaos TCG』のリリースを予定していますが、これはアナログTCGで展開しているものを再現する内容です。また、ブシロードの『キング オブ プロレスリング』のように、アナログのカードをネットに登録してデバイス上で戦うハイブリット型のTCGもあります。このように、ソーシャルゲームのカードバトルと呼ばれるものも含めて、モバイルデバイスで遊ぶゲームでも新たな価値観の付加やルールが複雑化していくタイトルが出てくる可能性は十分考えられます。以前はともかく今の時点で単純だから別物であるという見方をするのは、時代遅れなのかもしれません」。

 アナログTCGならではのリアル大会や各種イベントの開催のほか、ネットにおいてもカードリストの掲載、生配信による新規参戦のタイトル発表や発売直前タイトルのカードを実際に使っての対戦など、さまざまな施策によってユーザーのモチベーションの維持や訴求に務めているが、特に大切なことと考えているのが、プラスの発言をしていくことだという。

 「TCGに熟練したプレイヤーが、特に気にするのがカード能力で、その能力を見て強い弱いと判断するんです。これ自体は個人の感覚ですしいろんな意見があってしかるべきです。が、気にしているのは、あるカードを弱いと判断したユーザーさんが、例えば『このカードは使い物にならない』と発言するとか、あるいはそのカードを使っているユーザーさん個人に対してネガティブな発言をするとか、ネット上でしてしまうことなんです」。

 ソーシャルメディアの浸透により個人の発言力や伝達力が高まっている昨今、ごく一部であってもネガティブな発言は大きく捉えやすく、さらには意図してないところでこれから遊び始めようと思っている別のユーザーに届いてしまい興味を削いでしまうことを危惧している。

 「『これは弱いから使い物にならない』ではなくて、自分の使う、好きなカードについて『僕だったらこのカードを使う』、と発信してほしい。自分が『弱い、使わない』と思うカードでも、誰かは強いと思っているかもしれないし、弱くても『このキャラが好きだからそれでも使って工夫して勝ちたい』と思っているかもしれない。自分と異なる意見を『ダメ』とひと言で否定するのではなく、『そんな意見もあるよね、僕は違うけどね』ぐらいにゆるく認め合って、プラス思考の発言を我々もユーザーも含めてみんなで発信していきたいと思うんですね」

 「"このキャラが好きだからこのデッキを使う”という気持ちは1番大切にしてあげたいです。一方、勝負にこだわるにしても他人のデッキを見下すのではなく、自分流の最善のデッキ構築はこれだ、と前向きに言って、さらに対戦で実践するのがいいと思います。極端な例ですけど、僕はアイドルマスターの秋月律子が好きなんですが“りっちゃんは俺の嫁だ”“りっちゃんのメガネがカワイイからこのカードを使う”などはよく言ってます」。

 デジタルのカードゲームにはソーシャルゲームとしてのコミュニケーション、デジタルゲームとしての自動化など、いろんな意味での手軽さがメリットとしてある一方で、アナログTCGならではの濃密な情報量にもメリットがあり、その感覚をネットやソーシャルメディア上でも活かしてほしいと考えているようだ。

 「情報量と言うと難しく聞こえますが、つまり対戦を通じた態度や言葉遣い、表情、プレイングマナーなどで伝わるものは多いよね、ということです。対面で勝負していて、態度が悪かったり嫌なことを言われたら傷つくし、リアルに『なんでそんな弱いカード使ってるの?』って言える人はそんなにいないですよね。でもネットでは言えてしまう雰囲気はあります」

 「逆に尊敬と敬意を持ってフレンドリーに対戦ができれば、お互いゲームも楽しめてその後のコミュニケーションが広がるというのは、ごく当たり前のことかと思います。TCGを通じて、新しい友人になれるかもしれません。今回は初音ミクということで、はじめの一歩を踏み出す方がたくさんいらっしゃると予想しています。ひとりでも多くの方に入っていただきやすく迎え入れられる雰囲気を、ネットでもリアルでもユーザーとともに作り上げていきたいというのが、今後の希望でもありますし大切なことかと考えています」

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