デル復活への期待--株式非公開化のメリットとは - (page 2)

Shara Tibken (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年02月12日 07時30分

 ForresterのアナリストのDavid Johnson氏は、「ここ数年のDellは焦点がずれていたのではなく、移行期だった。(非公開企業になれば)Dellはより機敏になり、組織やビジネスにより素早く集中できるようになるだろう」と述べている。

2011年10月に開催のWeb 2.0 SummitにおけるMichael Dell氏
2011年10月に開催のWeb 2.0 SummitにおけるMichael Dell氏
提供:James Martin/CNET

 (このForresterのアナリストは、DellのM&A戦略を管理していたDavid Johnson氏とは別人だ)

 DellはPC革命において重要な役割を担っていたが、同社の従来の製品は、モバイルブームには乗り遅れている。Dellにとってそれは、単純なPCの販売から、データセンタテクノロジの提供へと焦点を移すことを意味した。そしてその分野で、ある程度の成功を収めてきた。第3会計四半期の業績全体は惨たんたるものだったが、Dellのサーバやネットワーク事業の売上高は、前年比11%増の23億2000万ドルになっている。

 しかし、エンタープライズビジネスを構築し、消費者の代わりとなる新しい顧客を集めるには時間がかかる。DellはITサービスプロバイダーのPerot SystemsやストレージメーカーのCompellentなどの買収によって製品の幅を広げてきた。しかし、そうしたものすべてを集めて、「IBM Global Services」のような1つの素晴らしい製品にまとめ上げるには時間がかかる。

 また、株式非公開化とは時間を稼ぐことだ。最高財務責任者(CFO)のBrian Gladden氏がいくつかのメディアに対して5日に語った内容によると、Dellはどうやら、PCから脱却して多角化するという現在の計画を継続するようだ。

 さらに、Microsoftの融資を通じてDellとMicrosoftとの関係がより一層近くなったことは、最終的には双方の利益になる可能性がある。Microsoftは、デバイス製造プロセス全体のコントロールをより一層強めようとしてきた。Microsoftは現在、独自のタブレットを開発するだけでなく、パートナーの製品に対する発言力を強めはじめている。MicrosoftとDellの関係がさらに近くなれば、消費者向けデバイスの分野で、ハードウェアとソフトウェアのより強力な連携につながる可能性がある。さらにMicrosoftは、エンタープライズビジネスのための強力なパートナーも得られる。

 もちろん、株式非公開化にはリスクがある。投資家による四半期ごとのチェックがない代わりに、Silver Lakeが不満を募らせて、改善のスピードを速めるよう要求する可能性がある。そしてDellが一般投資家に対して責任を持たなくて良いからといって、支援者たちが自分の投資に対する見返りを期待しなくなったわけではない。

 さらに、顧客は多くのDell製品を購入することをためらう可能性がある。それは、その懸念が正しいかどうかはさておき、自分が購入したもののサポートをDellが継続しないのではないかと考えるためだ。

 OvumのチーフITアナリストであるCarter Lusher氏は、「Dellはこの移行期を経て力をつけ、企業や公的機関のニーズをよりよく満たす製品をそろえるのではないだろうか。一方で、どの製品やサービスが残って強化されるのか、あるいは廃止されるのかという点では、不確定な要素がある」と語った。

 そして、Dellに時間的な余裕が生まれ、監視が減ったとしても、テクノロジをめぐる環境全体の競争が熾烈であることに変わりはない。IBMはDellが戦略を考え出すまで待っていてくれるはずはないし、それはHewlett-Packard(HP)やLenovo、Appleといったさまざまなライバル企業も同じだ。

 何よりもDellは、イノベーションに着手する必要がある。それがPCであれ、モバイルデバイスであれ、エンタープライズ製品であれ同じことだ。Michael Dell氏がJobs氏とAppleから学ぶべきことがあったとすればそれは、よそで見たことがあるような製品を開発するだけでは不十分だということだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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