NTTドコモは2月7日、ベンチャー企業との連携強化を目的に、NTTインベストメント・パートナーズ(NTT-IP)の全株式を親会社であるNTTから譲り受け、NTT-IPの商号を変更した新たなファンド運営会社「ドコモ・イノベーションベンチャーズ」(DIV)を2月下旬に設置することを発表した。
また、ベンチャー企業へ出資する100億円規模のコーポレートベンチャーファンド「ドコモ・イノベーション投資事業組合」(DIファンド)を同じく2月下旬に設立する。シードからミドル、レイターまで幅広いステージのベンチャー企業に出資する予定だという。
ドコモでは今後、ベンチャー企業への出資や連携強化によって、同社のスマートフォン向けサービスの充実を図るほか、コマースやヘルスケア、金融など新たな事業領域におけるサービス開発力を強めることで、競合他社との競争力を高めたい考えだ。
ベンチャー企業を対象とした起業支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」も開始する。特定のテーマに限定したプログラムを年に数回開催する予定で、2月7日から開始する第1回では「グローバル・スタンダードになりうる、モバイルを活用したサービス」をテーマに参加チームを募集する。ドコモが提供する製品やサービスで利用できることが前提となるため、基本的にはAndroid向けのサービスが対象となる。
応募資格は、設立3年以内で従業員が10名以下の企業または起業を目指している個人で、募集期間は2月7日~3月11日まで。ドコモは書類審査やプレゼンテーション、面接審査によって参加チーム(5~6チーム)を選出する。参加チームは、約5カ月間にわたってサービスを開発し、9月下旬に開催するリリースイベントで成果を発表する。優秀なサービスや技術については、ドコモサービスとの連携やDIファンドからの出資も検討するという。
同日の記者会見で登壇したNTTドコモ 執行役員 フロンティアサービス部長の中山俊樹氏は「米国にはベンチャー企業を育てる環境があるが、残念ながら日本ではまだそこまでいっていない。やはりドコモも含めた一定の企業がエンジェルのような役割を果たしていかないと、なかなか日本の新しい企業やベンチャーは育っていかない」と、同プログラムの意義を語る。
参加チームにはドコモもさまざまな方法で開発を支援する。具体的には、約200万円の開発助成金(コンバーチブルノートでの提供)や、共同オフィススペースの提供、電話帳や音声認識など各種APIの提供、クラウドによる開発環境の提供などを予定している。また、B Dash Venturesなど国内のインキュベーターとも連携していく。
さらに、ドコモ子会社の米DOCOMO Capitalがシリコンバレーのベンチャーファンドである「500 Startups」へ出資。500 Startupsのパートナーによる講演やメンタリングなどによって参加チームの支援を強化するほか、ベンチャー企業の世界進出もサポートしていくという。
ところで、KDDIは2011年からインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」を展開している。スマートフォン向けのサービスやアプリを開発する企業、学生を対象に3カ月間支援するプログラムで、すでに第3期までチームが選ばれている。
KDDI ∞ Laboとの差別化ついて中山氏は「この領域では競争するというよりは同じ道をいっている。我々も∞ Laboがやっていることでいいと思うことはどんどん取り入れたいと思っており、差別化ということを強く意識しているわけではない」と説明。
続けて「ひとつあるとすれば、我々が狙っているのは北米との連携。(ベンチャー企業の)米国への出口、もしくは米国からの入り口をきちんと作っていきたい。できれば、アジアとの連携も含めてグローバルな視野で開発を目指す人たちを応援したい」と語った。
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