目を閉じて、今日の「Firefox」や「Chrome」「Internet Explorer(IE)」「Safari」の向こう側にあるものを想像してみてほしい。「ストリームブラウザ」を思い描いた人はいるだろうか。David Gelernter氏の目に映るのはストリームブラウザだ。
イェール大学でコンピュータサイエンスの教授を務めるDavid Gelernter氏は、現在われわれの方に大量に押し寄せ、われわれを取り囲むすべてのデジタル情報に次に起きることについて熟考してきた。そして、それがきっかけとなって、Gelernter氏は「The End of the Web, Search, and Computer as We Know It(われわれが現在知るウェブと検索、コンピュータの終焉)」と題された特集記事をWiredで執筆した。オンラインにおける時間と空間の連続体の重点は、現在の「空間に基づくウェブ」から「時間に基づくワールドストリーム」へ移行しようとしている、と同氏は述べている。時間に基づくワールドストリームとは、Gelernter氏とEric Freeman氏が1990年代に書いた「ライフストリーム」現象から派生したものだという。
われわれは既に、動的で日記に似た構造への移行の真っ只中にいる、とGelernter氏は主張する。RSSフィードやブログ、Facebookのタイムライン、Twitterなど「チャットストリーム」という形で既に存在しているものについて、よく考えてほしい。それは、デスクトップというフラットな地球の向こう側へわれわれを連れて行ってくれる。
同氏は、「もしそれらのブログやフィード、チャットストリームなどをすべて統合したら、どうなるだろうか。最近になって登場し始めたプライベートなライフストリームを含む、ネット上のあらゆるタイムストリームを統合して、単一の大規模データストリームを構築すれば、ワールドストリームができあがる。それは、サイバースフィア全体を思い描く手段となる」と考える。
そうした全く別の世界が登場したら、今日のOSやブラウザ、検索モデルは過去のものとなり、ストリームブラウザが誕生するだろう。Gelernter氏は次のように述べる。
人々が本当に欲しているのは、情報に「チャンネルを合わせる」ことだ。近い将来、サイバースフィアには莫大な数のライフストリームが存在するようになるので、われわれの基本的なソフトウェアはストリームブラウザになるだろう。それは、現在のブラウザに似ているが、ストリームの追加、削除、およびナビゲートも行えるように設計される。
タイムストリーム内のコンテンツ検索は、ストリーム代数学の問題だ。それは、今日のウェブのような空間に基づく構造の代数学より簡単だ。2つのタイムストリームを足すと、3つめのタイムストリームができる(単純な例では、APのニュースフィードと筆者の友人であるFreeman氏のブログストリームを統合して、時系列で表示させるということ)。そして、コンテンツ検索はストリームの引き算の問題である(「クランベリー」に言及しないすべてのエントリーを減じるだけで、それに言及するすべてのエントリーを得ることができる)。ストリーム代数学が持つシンプルで合理的な特徴には、大きなメリットがある。それは、オーダーメイドの情報が得られることだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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