Amazonが1台の「Kindle Fire HD」を製造するのに207ドルを費やしていることが、調査グループIHSによる分解調査の結果でわかった。Amazonは依然として損失を出していることになるが、その額は初代「Kindle Fire」の場合ほどではないという。
IHSはローエンドにあたる199ドルのKindle Fire HDのコストを分析してレポートにまとめた。これは7インチディスプレイを搭載し、Wi-Fiのみに対応している16Gバイトのモデルだ。このレポートによると、部品と製造のコストは174ドルだという。これに、ソフトウェアやライセンス、ロイヤリティといった他の費用のコストが上乗せされ、デバイス1台あたりのコストは207ドルになるとIHSは見積もっている。
Amazonはこの損失を顧客基盤の拡大と引き換えに受け入れている。つまり、同社が販売しているコンテンツのユーザーを獲得する狙いがある。
Amazonはメモリの増加やプロセッサの強化、カメラの搭載など、Kindle Fire HDの性能を向上させたが、前の機種よりも安く製造することができたとIHSは指摘した。アナリストによると、同社はディスプレイの解像度を上げたにもかかわらず、このディスプレイで最もコストを削減できたという。さらに、タッチスクリーンシステムもコスト削減に寄与しているという。
IHSのシニアプリンシパルアナリストであるAndrew Rassweiler氏は、「全体的に、すべて継続的な改良であり、画期的は特徴は追加されていない」と述べた。「しかし、これらの特徴によってAmazonは、販売のエントリポイントとして『魔法のような』199ドルという価格を維持しながら、より少ないコストで、前バージョンのKindle Fireよりも性能を向上させることができた」(同氏)
Rassweiler氏はまた、Kindle Fire HDのWi-Fi対応8.9インチ32Gバイト版は、一段高い価格であるため同社により多くの利益幅をもたらすと述べた。これは、Appleの価格アプローチと似た戦略だ。7インチモデルでは、16Gバイト版と32Gバイト版の価格差は50ドルだが、8.9インチモデルではこの2つのメモリオプションの価格差は70ドルとなる。
「Amazonは、Appleが『iPad』製品で開拓した『memory upgrade for dollars』(メモリアップグレードで利益を得る)という戦略に、興味深い工夫を加えた」とRassweiler氏は述べた。
価格の違いはLTE対応の8.9インチ32Gバイト版と64Gバイト版でさらに顕著になり、その小売価格の差は100ドルだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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