アイロボットの日本総代理店であるセールス・オンデマンドは、掃除ロボット「ルンバ600シリーズ」を10月19日に発売すると発表した。
日本向けの独自設計で、メインブラシや吸引システムを改善することで粉塵や日本に多い硬質の床にも対応し清掃力を向上させた。ペットの毛なども詰まりにくくなっているという。
さらに、価格は5万円を切るなどこれまでの700シリーズ(オンラインショップストア価格:6万4800円~)に比べて下げた。全機種に自動充電機能を備え、赤外線で目に見えない壁をつくり、部屋を区切る「バーチャルウォール」が1つ付属する「ルンバ620」(同:4万9800円)とバーチャルウォールが2つと交換用のフィルタが付属する「ルンバ630」(同:5万4800円)の2モデルがラインアップする。
既存の700シリーズも継続販売。600シリーズの上位モデルという位置付けで、軽いゴミでも感知するダブルゴミセンサとダスト容器がゴミで一杯になると、ランプが点灯して知らせる機能などが異なる。
なお、セールス・オンデマンドは、今年9月17日にルンバ発売10周年を迎えるにあたり、「ルンバ 10th Birthday プロジェクト」を開始。第一弾として、ルンバ630をベースにした「ルンバ 10th Birthday限定モデル」を、アイロボットストアおよびアイロボットサービスセンターにて発売する。1色100台限定、全8色で展開する。価格は5万6800円。
セールス・オンデマンド代表取締役社長である木幡民夫氏は、「思い起こすといろいろなことがあったが、10年前にこのアイロボットの1号機が日本に来たとき、全く売れなかった。見事なぐらい売れなかった。積んであるだけで、掃除機と分かる人はいない」とし、体重計と間違われたことすらあったと振り返った。
“ロボット掃除機”として知られるルンバは、当時“自動掃除機”と呼んでいたという。「ロボットという言葉を使うとおもちゃっぽくなる」との配慮だったという。また、店内でデモンストレーションを開始する。「3~4年たったら、使った方の感動が広がって、本当によく売れるようになった。恥ずかしいが欠品も起こすようになった。競争相手が続々とでてきているが、自信を持って申し上げられるのは、リーディングカンパニーのつくったものは負けることがないということ」と品質に自信を見せた。
ルンバは米国アイロボットの製品だ。同社は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)で最先端の人工知能研究を進めていた3人の科学者によって1990年に創立。「人の命や尊厳に関わる3D=Dull/Dirty/Dangerous(退屈、不衛生、危険)な仕事から人々を解放する」という思想のもと、実用的なロボットを開発している。
最近では、福島第一原発事故の際に放射線量の測定や建物内部の撮影をした多目的ロボット「PackBot」を生み出した会社としても知られる。
アイロボットの創設者で現CEOのコリン・アングル氏も来日し、発表会に登壇した。2002年にルンバとして家庭向けに製品化するにあたり、玩具メーカーのHasbroと提携し、製造技術を応用することでコストを下げ、掃除用具メーカーとして知られるSC Johnsonとも提携。
その際に「(商業用の機械で)フロアを掃除する人はロボットかどうかは気にしない。キレイになるかどうかだ。カッコイイロボットにすることは考えないで、とにかくちゃんとキレイにすることに集中したほうがいい。きれいな床とそうでない床の差は実は些細なことだったりする。成功したいなら、よりよく掃除ができ、既存の技術よりも上に行かないといけない」とアドバイスされたという。
「“100%”を追求する旅がここからはじまった」とコリン・アングル氏は言う。「初代原型のルンバである2002年のものは100%ではなかったけれども、なかなか健闘した。もっとうまくやりたいという気持ちがあったから、新しい可能性、テクノロジを取り込んだ。“目”を作り、吸い上げている音を検知する。3回以上も掃除しクリーンにするということ。競合のどこもそういう特長を兼ね備えているところはない」と自信を見せた。
アイロボットは、これまで50カ国以上、800万台以上の家庭用ロボットを販売。ルンバが歩いた距離は地球1000周以上の距離で、ピックアップした汚れの量をクルマに換算すると、80万7692台分のプリウス、または262の東京タワーに相当するとしている。
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