最後のパターンは、戦術した2つの特徴の合わせ技だ。つまりリアルで起きている事をソーシャルメディアに可視化し、ソーシャルメディアで起こったことをリアルにフィードバックするパターンである。
事例は「NIKE+ RUNNING」。ランニング中に起動することで、自分のコースなどを記録してくれるスマートフォンアプリだ。このアプリは、GPSに連動してランを自動的に記録したり、ペースによって再生する音楽を切り替えてくれたりと、走るモチベーションを高めてくれる、ランナーにはありがたいアプリだ。筆者もにわかランナーだが、走る度にお世話になっている。
これは前述のFuelBand同様、NIKE的な世界を作るための、非常に大きなブランディング戦略の一貫なのだが、今までにない機能がひとつ搭載されている。それは、孤独に走っているランナーを、ソーシャルメディア上の友人がリアルタイムで応援出来る機能だ。
ランナーは走りだす時、そのランをFacebookで共有するか選択でき、許可すると友人のニュースフィードに右下の画像のようなものが表示される。
友人がこのポストにいいね!をすると、ランナーのスマートフォンのイヤホンから、実際のサウンドとして「声援」が響くという仕組みだ。
この機能をきっかけに、ランナーである私がNIKEのファンであるという事がソーシャルメディア上に広がる。そして、友人がそれに対してとったポジティブな行動が、リアルタイムに戻ってくる。このサイクルによって、私の「NIKEが提供してくれる体験」に対する満足度が上がっていくのだ。
友人同士のつながりというソーシャルメディア最大のパワーをうまく活用した素晴らしい事例である。
すべての事例に共通している特徴がある。それは「ユーザーが自然に送っている日常行為をクチコミとして、マーケティング施策にしている」という点だ。
Coca-Cola Villageでもケンタッキー大学でも、ユーザーは遊んでいるだけ。別にマーケティングの手伝いをしているわけではない。私も別にNIKEの宣伝をしたくて走っているわけではない。だがこれらの喜びに支えられた行為は、結果的にソーシャルメディアに乗って、ブランドのイメージを高めている。
いかにアイデアを使ってリアルな行動を喚起するか。そして、それをどの方法でソーシャルメディアに伝えていくか。そこにこれからマーケターとしてチャレンジすべき、ひとつのポイントがあるのかもしれない。
今後もますます加速していく、リアルとソーシャルメディアの融合から、しばらくは目が離せそうもない。是非、皆さんがご存知のリアルとソーシャルメディア融合の事例など、教えて欲しい。ご存知のかたはぜひ、Twitterアカウント@MasaruAndoまで。
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