テレビとスマホの融合をカタチにした日テレのアプリ「wiz tv」 - (page 2)

音声認識は今までにないユーザーインターフェースを提供する

--対応予定となっている音声認識はどんな機能に使われるのですか。

  • 将来対応予定の音声認識機能

 いろいろ考えられるのですが、ひとつは新しいユーザーインターフェースを提供します。一言で言うと操作せずとも情報がプッシュ型で送られてくるようになります。

 PCは前かがみになって操作しますが、テレビを見る時はだいたいみなさんソファなどに寄りかかってリラックスした状態で見ていますよね。ですから、スマートフォンを手元に持っていても細かい操作などはしたくない。そんな時に音声同期をしておけば、番組の音声を認識して操作せずとも番組情報がリアルタイムで更新されていきます。

 また、広告的な観点から考えるとリアルにテレビを見ている人が特定できるので、その人たちだけにクーポンを発行したり、特別な情報を出したりといった使い方もできます。視聴率に代わるものではありませんが、その番組を見ている証明にはなります。

 音声認識は、体感していただくとその魅力が一番伝わる技術です。社内でも言葉で説明していた時はなかなかそのすごさが伝わからなかったのですが、実際にテストしてみたらその場にいた全員が声を出して驚いた。そこに大きな可能性を感じたので、音声認識を形にしたいというのもwiz tvを開発したきっかけの一つです。

 wiz tvというネーミングには、テレビと「with(一緒に)」楽しんでもらいたいという意味と、「wizard(魔法使い)」のように使ってもらいたいという2つの意味を込めています。音声認識をすることによって魔法を使うような感覚はより味わってもらえると思います。

ソーシャルメディアを通して番組を知る、そのニーズにきちんと向き合いたい

--アプリ開発の時に特に苦労された点は。

  • 番組情報も表示できる

 実際の開発期間は3カ月程度ですが、構想にはテストも含めて1年くらいかけています。テレビと連動したダブルスクリーン向けアプリと考えると、いろんな方向性がありますよね。番組表に寄ったもの、チェックイン機能を持たせたもの、視聴ポイントを貯めるものなど、いろんなことを試行錯誤して、ものすごい大きな振れ幅の中から機能を絞り込んで作ったのがwiz tvです。

 絞り込みは「ユーザーに使ってもらって楽しいのはなんだろう」というのを念頭に置いて行いました。その中でも「テレビを見ていない時も楽しめる」というのはキーワードになりましたね。

--wiz tvを使うことによって、テレビの視聴形態は変わるのでしょうか。

 新聞のラジオテレビ欄を見る機会は、若い人は減っているようにも思います。では面白いテレビ番組をどうやって知るか、というと口コミのウエイトが大きい。それが最近だとソーシャルメディア上に移行してきて、番組に接してもらうきっかけとして大きな役割を果たしています。wiz tvは、そんな人たちの新しい番組の発見の場になってほしい。私たちテレビ局の人間もそうしたニーズにきちんと向きあっていきたいのです。

 リアルタイムで使用していただく際は、スポーツ番組を見ながらパブリックビューイング的な盛り上がりを楽しんだり、アニメ映画「天空の城ラピュタ」の「バルス」のようなツイートをしたりしていただけたら嬉しいですね。こういう使い方って一種お祭り的な盛り上がりがあると思うのですが、wiz tvを使うことで、日常の中にも生まれてくると面白いかなと思っています。

 今テレビよりもネットを見る人が増えている、ということが言われていますが、テレビは知るきっかけさえあれば面白いなと再認識してもらえると思っています。そういうテレビの新たな発見を知るきっかけにwiz tvがなってくれたらうれしいですね。

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