アイ・ティ・アールは、国内企業の情報システム部門/経営企画部門の所属者を対象に実施した「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」の結果を発表した。これによれば、今後に向けたIT戦略の方向性として、クラウドサービスの積極的な活用を考えているとの回答は77.8%に上り、「アウトソーシングを積極的に推進する」とした回答者に限ると、この数値は90.1%にまで達している。同社では「IT資産の最適配置、運用業務の効率化といったアウトソーシングの観点からも、クラウドサービスが有力な選択肢として位置づけられていることが顕著に示された」としている。
今回の調査では、従業員数500人以上の中堅・大手国内企業が、ITアーキテクチャ、ITアウトソーシングなどの戦略上クラウドサービスをどう位置づけているのか、具体的な移行のプロセス、優先順位についてどのようなビジョンをもっているか、との点に着目している。調査期間は2012年6月8日から11日で、外部のアンケート・パネルを用い、国内企業の情報システム系、経営企画系部門に所属するクラウド/アウトソーシング戦略策定の関与者を対象に、Web経由で回答を受け付けた。有効回答数は652件。ほとんどの業種を網羅しており、従業員規模は1000人未満が20.6%、1000人から3000人未満が24.7%、10000人以上は23.2%。
それによれば、中堅・大手企業の77.8%がクラウドを積極的に推進する姿勢であることが明らかになった。同時に、アウトソーシングの利用を拡大したいとの回答も65%となった。このようなアウトソーシングに前向きな層では、クラウド積極派は90.1%に跳ね上がる。
この結果について同社シニア・アナリストの舘野真人氏は、ユーザー企業のクラウドに対する位置づけの変化を指摘している。「多くの企業が、ITアウトソーシングの有力な手段としてクラウドを考えていることを示している。サービス単位でクラウドを検討・利用してきた段階から、ITの構築・運用の全体最適化を進める手段としてクラウドが位置づけられてきている」(館野氏)というのだ。
現状でのクラウドサービスの利用状況をみると、導入済みでさらに拡張との回答が最多なのはSaaSで、24.5%だった。PaaSは13.3%、IaaS(インターネット経由の利用)が13%などとなったなか、プライベートクラウドは21.3%と、SaaSに次ぐ数値だった。SaaSの導入率は、企業の規模とほぼ比例して高くなっており、1000人以上10000人未満の企業では20%を超えているほか、10000人以上では3割を上回っている。また、プライベートクラウドは、500人以上1000人未満の企業でも15.7%は導入済みだった。
舘野氏は「企業側のプライベートクラウド指向からは、IT資産をアウトソーシングしたいが自社で制御できる自在性は失いたくない、”わがまま”なニーズが伺える。パブリッククラウドに比べ導入コストや維持管理コストは高いが、それを差し引いても、これらの利点を高く評価する企業が多いことが背景にある。今後、導入率はSaaSを追い抜くのでは」とも予想する。
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