事業は安易に方向転換せず、やりきることも重要--サムライインキュベート - (page 2)

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 2008年の立ち上げから1年間ほどは大企業向けのコンサルティングで食いつなぎながら支援をやっていました。その頃はまだファンドではなく、スタートアップから成果報酬でコンサルティングを請け負ったりするモデルでした。

 現在は、将来起業を考える方を雇用させてもらって社内で事業を作るようにしています。これまでも北米の事業をローカライズして持ってきたり、以前はGoogleマップの広告表示最適化などもやっていました。このコワーキングスペース(SSI)やイベントももちろん事業の一部です。現在も新たに定期購入のサービスを立ち上げようと準備しています。

 投資はビジネスというよりも社会貢献的な意味合いが強いものです。SSIの前進だったSamurai House(小竹向原にかつてあったインキュベーションハウス)なんていうのも、すべてコストを抑えながら支援事業を続けるためのアイデアでした。若干赤字ですが(笑)。

--どうして榊原さんはそこまでして支援事業をやりたいと思われたのでしょうか。

 私、「ああ、自分はこれだけ沢山の人達と関わることができた」って思って死にたいんです。近代資本主義の父といわれる渋沢栄一氏は、多くの企業を作ったじゃないですか。同じようにどれだけ沢山の経営者を生み出すことができるか、挑戦してみたいんです。

--サムライインキュベートでも支援先に学生起業家や事業経験が浅い経営者がみられます。安易に「ピボット」などの言葉に流れてサービス停止してしまう例などを見ると、支援者としてはもう少しアドバイスをすればよいのではと思うこともあるのですが。

 確かにサービスの方向転換をしたところで、まだまだ上手くいってない会社もあります。やりきって欲しいんですよね。この辺りについては私もアドバイスに悩んでいます。方向転換は経営に関する重要事項なので、押し付けたくはない。ですが安易にそういうことをせずにやりきってほしい。

 最近は少し突っ込んで、たとえばToDoや数字などの細かい経営指導や管理をするようにしています。ただ、言ってもやってこないという人もあるので、それは私の見る目の問題なんでしょうね。

--借金が嫌なので、数百万の出資を求めてやってくる、なんていう甘い方はいるんでしょうか。

 うちはどちらかと言うと、私のことを「怖い」という印象を持ってやってくる方が多いので、それはないかなと思います。

--逆に傾向としてどういう起業家が成功しているか教えてください。

 やはり「やり遂げたい世界観」を持っているかどうかでしょう。たとえばソーシャル翻訳「Conyac」の山田さん(エニドア代表取締役の山田尚貴氏)は、言語の壁をなくせば世界が平和になると本気で信じています。何を言われようがそこにこだわってやっている。

 あとは、とにかく人をうまく使えるということも大切です。ソーシャルリクルーティングの春日さん(ソーシャルリクルーティング代表取締役CEOの春日博文氏)は私を使い倒してます。とにかくやりきることが大切なんです。

--学生起業の仕掛けが増えてきています。サムライインキュベートにも学生起業家がいますが、どういう基準で彼らを採択し、見えてきている問題点を教えてください。

 現在学生起業の会社は4社ありますが、支援先として採択する場合は「インターンや事業経験ないといけない」といった条件を設けて単なる“起業ごっこ”にならないようにしています。

 学生の一番の問題点は「社会の不条理さ」を知らないことですね。私は学生時代、NGOで医療関係のボランティアをやっていた関係で医療品販売の会社に入ったんですが、入ってみたらものすごい世界なんです。辞めたかったけど転職も一般的じゃない時代だったので、自分がやりたくないことのために三年間費やしてしまった。でもそういう経験があったから、アクシブ(アクシブドットコム:現VOYAGE GROUP。榊原氏は同社の創業期メンバーでもある)の立ち上げも楽しくやれたし、今、時間を大切にして好きなことがやれているんです。

 不条理を知ることってバネの力をためるようなものなんですね。この経験がなくていきなり好きなことをやれてしまうと、やはり約束を守れなかったり、時間を無駄に使ってしまう。そういうところは問題としてあると思います。

--ごくごく初期のスタートアップは資金を集める際、借金と株式による調達どちらを選択すべきなんでしょうか。

 実際、サムライインキュベートの事業は借金で立ち上げてますから、株式での調達は他人からあれこれいわれるので嫌ですね(笑)。僕らのような支援者を利用して伸びるというような方は投資を仰ぐべきでしょう。


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