元メジャーリーグ投手、設立したゲーム会社38 Studiosの破産で一文無しに

Chris Matyszczyk (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部2012年06月29日 11時16分

 現実社会におけるプロスポーツ選手は、フィールド(またはコートやコース)に立っている時と同じくらい有能(幸運)であるとは限らない。

 NBAやNFLの選手のうち60~80%は引退後5年以内に破産するという調査結果もある。元NBAのAllen Iverson選手や元NFLのMark Brunell選手などの有名人も、大きな経済的問題を抱えていたことがある。

 今回、Boston Red Soxの元投手Curt Schilling氏が、自身が設立したビデオゲーム会社38 Studiosの破産で「一文無しになった」ことを明らかにした。

 ESPNの報道によると、Schilling氏はボストンでWEEI-FMラジオに出演し、「野球選手時代に築いた貯蓄は全てなくなったと思う」と語った。

 これまでに5000万ドルを超える個人資産を38 Studiosにつぎ込んだという。

 Schilling氏は、人気オンラインゲーム「World of Warcraft」に対抗できるゲームを開発しようとしていた。これは(ヤンキー・スタジアムのある)ブロンクスに新しい野球チームを立ち上げるようなものだ。


38 Studiosが開発したゲームのタイトルは「Reckoning(罰)」だった
提供:38 Studios

 38 Studiosは米国時間6月7日に破産保護を申請した。Schilling氏と、7500万ドルの債務保証を提供したロードアイランド州政府との間では、現在トラブルが生じているようだ。

 資金がどこに消えたのかが完全に明らかにされておらず、州および連邦当局は現在調査を進めている。Schilling氏はCitizens Bankから240万ドルの返済を巡って提訴される見込みだ。38 Studiosの400人近い従業員は全員解雇された。

 それでも、Schilling氏は良い投手にも悪いことは起こるということを受け入れているようだ。同氏はこの影響が自分自身のみならず家族にも及ぶことを理解している。同氏はラジオでこう語った。「当分の間、私たちの生活はこの件で一杯になるだろう。これは人生を変える出来事だ」

 一方で、こうも主張している。「同情は求めない。自分で選んだことだ。これを実行すると決め、起業したいと思い、雇用を創出し、長い間世に残り世界を変えるものを作りたいと思った。あと少しだった。あと少しで実現できるところまで来て、崩壊してしまった」

 おそらく、非難されるべきは同氏1人ではないだろう。

 なぜ、ビジネス経験が比較的少ない人が「World of Warcraft」に対抗できると信じ込んでしまったのかが不思議だ。多くの人が挑戦し、いまだに誰も成功していないというのに。

 もしSchilling氏が、本人が言った巨額の資金をこの会社につぎ込んでしまったとしたら、その行動はもしかしたら慎重なやり方ではないのかもしれないよ、と忠告してくれる人はいなかったのだろうか?Schilling氏は、実際は彼の速球に立ち向かう新人ダークホースほど強くはなかったのだろうか?

 おそらく、勝利を信じることに慣れてしまうと、疑うのが難しくなるのだろう。勝ち慣れた人にとっては、「自分が何を知らないか」を知るのが難しい時もある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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