NECパーソナルコンピュータは5月8日、都内でPCの夏モデル発表会を開催した。今夏のモデルは、2秒で起動する地上デジタルテレビを内蔵するデスクトップPCや、電力会社の“でんき予報”を参考に自動的にピークシフトを行うノートPCなど、7タイプ45モデルとなっている。
発表会では、1月に社長に就任したばかりの高塚栄氏があいさつに立ち、4月までの3カ月間は「極めて順調に進んできた」と感想を述べた。2012年はイノベーションへの挑戦とし、(1)先進性や高品質など「日本基準」の追求、(2)PCのインテリジェンスでテレビの再定義、(3)ウルトラブック、タブレット、Windows 8といったキーワードをもとにワクワクする新商品を市場に導入する――という3つをすすめる考えを明らかにした。
今回の新製品に関わる点としては「テレビの再定義」が特にあてはまる。高塚氏は「PCはいろいろな情報にアクセスする端末として処理能力が高く、周辺機器で拡張もできる、PCこそが情報端末の本命になる」とし、テレビチューナ内蔵PCを含めて、今後もPCは重要で、市場の活性化も期待していると述べた。
2011年にNEC レノボ・ジャパングループが発足しているが、部品の共同調達などでコストにメリットが生まれている点については、現在のところ生じたコストメリットは開発費投資に向け、新たな付加価値を提供したり、電話サポートの無償化の実現といったところに回しているとした。
一方、今回の発表された夏モデルのラインナップではウルトラブックと定義される薄型モデルがなかった。それについては高塚氏は「あっと驚くものを出したい」「開発をやっていないわけではない」と述べ、ウルトラブックの後日発表を予告した。
製品紹介の中で真っ先に紹介されたのは「VALUESTAR W」。一新され、Windowsが起動しなくてもテレビとして使える機能「ぱっと観テレビ」を持たせ、電源OFFの状態からボタンを押して2秒で放送が表示される。
この仕組みは、PCとは独立したチューナを1回路内蔵し、Windows起動なしにテレビとして使える。電子番組表機能も持っており、番組表から番組を選んで録画予約ができる。予約した内容は、Windows起動後にPCに伝えられる仕組みで、Windows上のソフトウェア「SmartVision」でPC側のテレビチューナを使って予約録画が実行される。
ダブルチューナ仕様の「VALUESTAR」では、同じ家庭内ネットワークにつながった別のPCにチューナ機能を貸し出す仕組みを持っている。そのため、他のテレビチューナなしのPCから、地上デジタル放送をリアルタイムで受信できる。ただし、これはNECの専用ソフトの入った機種に限られる。
発表会のデモでは、ボタンを押して2秒で画面にテレビ放送が映し出されることや、他のPCからLAN経由でテレビチューナを使用することも実演され、いずれもスムースに地上デジタル放送を映し出した。「ぱっと観テレビ」で瞬時にテレビ放送を映し始めた後、同時にバックグラウンドでWindowsが起動し、テレビからWindowsへの切り替えが瞬時に行われることも確認できた。
夏モデルのノートPCでは「Lavie L」と「Lavie S」のボディを一新。どちらもシリーズの上位モデルでは、画面とベゼルとの段差をなくしたフルフラットパネルの採用や、ボディのさらなる薄型化などが進んでいる。
省電力の関心の高まりと、引き続き今夏も電力需要の逼迫が予想されるため、「でんき予報連動ピークシフト」が搭載された。でんき予報をネット経由で取得し、でんき予報が予想したピーク時間帯にさしかかったときに自動的にコンセントからの電気の利用を止め、バッテリ駆動に切り替えるというもの。予報を出している電力会社を選択でき、供給元の逼迫状態に合わせた対策が行える。
ピークシフト機能を有効に活用するため、バッテリ駆動時間も伸ばしている。Lavie Lでは従来モデルの約2倍の駆動時間を実現し、Lavie Sでは最長約9時間の長時間バッテリー駆動を実現している。
今回の発表会では、長時間駆動性能をアピールするためか、一部を除いてノートPCは電源アダプタなしで展示された。このため、Lavieの夏モデルは、発表会を挟んだ前後の数時間をバッテリだけで動いていたことになる。
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