日本通信は4月19日、NTTドコモに対して、接続料算定に関する訴訟を、東京地方裁判所に提起したことを発表した。
日本通信は、ドコモとの相互接続問題について、2007年に総務大臣裁定を申請し、日本通信側の主張が認められる形で裁定された。この裁定事項に関して「サービス設定権」「料金設定権」「帯域幅課金」に関しては日本通信の主張通りに認められ、「接続の技術面」と「接続料の具体的金額」については裁定せず、協議不十分のままだったという。
その後接続の技術面については2008年4月に開発契約などは締結され、接続料の具体的金額における大臣裁定として、接続料の算定式を協議しての合意ならびに、代入数値はドコモがNDAのもとに開示することを指針。これに基づき、日本通信とドコモは、2008年6月に、接続料の算定式を合意契約がなされた。
そして2008年度ならびに2009年度は合意した算定式通りの接続料が提示されたが、2010年度ならびに2011年度については、合意された算定式とは異なる式に基づいて算出されていたとのことで、これに対して合意違反だとして抗議していたという。
2010年度の合意違反が判明した後、担当者や役員レベルでの協議を実施したが、トップ(社長)同士の協議について求めたが拒否され、さらには差額の支払いを一時停止したところ接続を切断する回答が寄せられ、顧客サービスの維持のため支払いを続けたほか、総務省が非公式ながら仲介に入り協議を続けたとしている。
しかしながら2011年度の接続料をドコモが公表し、日本通信側が算定式を質問したところ、2010年度に引き続き合意違反が判明したことから、訴訟を提起に踏み切ったという。
日本通信側は、契約通りの算定式により算出された接続料を支払うべき地位にあることを確認すること、合意通りの接続料を定めた接続約款を総務省に提出すること、過年度(2010年度と2011年度)の過払い金の返還を訴訟の趣旨として挙げた。
本日開かれた記者会見にて、総務大臣裁定当初から交渉に当たっていたという代表取締役専務の福田尚久氏は、ドコモ側が主張している「2010年に支払いを行っていることが新たな算定に同意している証拠」としているのは、「支払わなければ接続を切断する回答があってのことで、お客様を人質にしたあるまじき行為」とし、支払っていることがさも同意している証拠としていることに遺憾の意を表していた。このほか、2011年度は前年度比35%の値下げを行っているとしていることも、算定式そのものは前年度から値上げになるものを提示した事実があり、ここで合意しているものの違反を容認することは、今後ドコモ側が自由に接続料を上げられてしまう危険があるとして、断固抗議するという。
また、「接続約款は総務省に提出し認めている」と主張していることについても、ドコモ側から算定式の提示があり、それについて日本通信側が抗議したところ、接続約款の提出と回答が一緒だったという。携帯についてはドミナント規制により、算定式は事業間の契約に基づくもので料金も届け出制であることから、総務省は契約内容について知る立場でも判断する立場でもないことから、ドミナント規制を逆用した不当行為だと主張している。
代表取締役社長の三田聖二氏はこの訴訟の提起について「お金のためではなく、総務大臣裁定に基づく合意を履行させるもの」とコメント。過払い金は約8000万円強とのことで、この返還は求めるもののこの金額は「大きくなく重要ではない」とし、財務的な影響は現時点において重要なものではないとしている。また、ドコモの接続約款に提示されている接続料を支払う限りにおいては妨害行為もできないとして、2011年度は接続料の支払いを続け、通信サービスには一切影響を与えないとしている。
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