ロジクール「Cube」(M701WH)は、手のひらサイズの超小型無線マウスだ。一般的な小型マウスといえば、通常のマウスをそのまま縮小したようなルックスであることが多いが、本製品は大きめの消しゴムのような、スクエアなボディが特徴だ。
フラットで継ぎ目のない上面パネルは、マウスの前方が左ボタン、そのやや手前が右ボタンの役割を果たす。つまり押す位置によってクリックの判定が異なるという構造だ。一般的なマウスでは人差し指と中指を揃えた状態でマウスを持つが、本製品では二本の指を前後にずらして押さえる形になる。あるいは人差し指だけで両方のボタンを操作するのでもよいだろう。
また、この上面パネルをなぞるとスクロールも行える。つまり左右ボタン+ホイールのすべての役目が、この上面パネルに集中していることになる。パネルはわずかにくぼんでおり、ピアノ調の塗装で指の滑りもいいので、操作はスムーズに行える。持ち方としては、親指と薬指で左右からマウス本体を挟む形になる。
もうひとつの機能としてはプレゼンテーションモードがある。本体を空中に持ち上げるとマウスモードからこのモードに切り替わり、PowerPointで言うところの進む/戻るの操作が可能になる。この場合はマウスを普通にクリックすると「進む」、マウスをひっくり返した状態でクリックすると「戻る」という、少々変わった操作方法になる。
本製品のメリットはなんといっても持ち歩きやすいことだ。コンパクトであることはもちろん、スクエアな形状であることから、一般的なマウスに比べるとバッグの中での収まりが非常によい。レシーバを本体内に収納するといったギミックこそないが、これはおそらくノートPCにつけたままになるので問題はないだろう。
肝心の操作性だが、ノートPCのタッチパッドよりは操作しやすいというだけで、やはり小ささゆえの操作しづらさは否めない。特に左右ボタンが前後に配置されている点については慣れも必要なほか、手のひらの付け根が机から浮いた状態で操作しようとすると、マウスボタンが天板部にあるが故に押しづらい。前面にまでボタンが回り込むマウスのほうが持ち方を問わずに使えることを実感する。
またプレゼンテーションモードについても、マウスモードとの切替のタイミングがつかみづらく、プレゼン本番に起用するにはかなり使い込んで慣れる必要がある。裏返しにすると進むボタンが戻るボタンになるという独特の操作方法も、おそらく持ち方を考慮した結果こうなったのだろうが、マウスモードと別々の操作方法になることを考慮すると、そこまで奇をてらわなくてもよかったのではないかと思う。
もっとも、クリック感やレーザーセンサの感度などはさすがロジクールといったところで、狙ったところにポインタをしっかりと動かすことができ、止まる時もピタッと止まる。スクロール時にだけ若干遊びがあるのは気になるが、廉価なマウスとの差は明らかで、トータルで見るとマウスとしてのポテンシャルはかなり高いといっていい。重量もわずか25.5gと、持ち歩いていることを忘れてしまうほどの軽さだ。標準ドライバで動作するのも高評価だ。
実売価格は6980円と、予備のマウスとしてはやや高価だが、特殊な製品であることを考慮すると妥当といったところだろうか。この手のコンパクトなマウスではバッテリの持ちが犠牲になりがちだが、本製品はわずか1時間半の充電で15日間持つので、いざという時のためのマウスとしてバッグの中に入れておくのは悪くはなさそうだ。今回紹介しているピアノホワイトに加えてピアノブラックもラインアップされており、手持ちのノートPCに合わせて選ぶとよいだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」