Bang & Olufsenの最高経営責任者(CEO)のTue Mantoni氏は、マラソンの例えを使わずにはいられなかった。
ウルトラマラソンランナーのMantoni氏は、苦戦する高級コンシューマーエレクトロニクスメーカーである同社が、多少手頃な製品をそろえた新しいサブブランドを立ち上げることについて、長いレースの最初の一歩だと表現した。
「われわれはマラソンの最初の数マイルを走ったところだ」とMantoni氏は言う。同氏はかつて、フランスで開催のMont Blanc Ultra Trail Runに参加し、102.5マイル(約164.9km)を連続30時間走ったことがある。「欧州の一部では、われわれの前にはまだ非常にきつい上り坂がある。ひょうが降り、非常に強い向かい風が吹いている状況だ」(Mantoni氏)
デンマークに本拠を置くBang & Olufsenにとって、4年間で3人目のCEOであるMantoni氏は、このレースが終わる前に同社が衰えることのないよう取り組みを進めている。世界同時不況と現在の欧州債務危機は同社に大打撃を与えた。同社のスピーカーとテレビは2万ドル近くするものもあるからだ。同時に、華やかな工業デザインで知られる同社は、エンターテインメントデバイスがさらにインタラクティブになる中で、懸命に努力し、その限られたソフトウェア設計の専門知識を試している。
Bang & Olufsenを再び軌道に載せるためにMantoni氏がとった最初のイニシアチブの1つが、2月にスタートする。Bang & Olufsenの新たなサブブランド「B&O PLAY」から、「iPhone」「iPad」などのAppleデバイス向けの新しいワイヤレスポータブルスピーカーを発売する。1月のConsumer Electronics Show(CES)で発表されたランチボックスサイズのスピーカー「Beolit 12」は、価格が799ドルで、全世界で700店舗展開しているBang & Olufsenストアや、同社のオンラインショップ、さらにはAppleのオンラインストアと小売店で販売される。
B&O PLAYの裏にある考え方は非常にシンプルだ。同社はプラグアンドプレイのガジェットを売りたいと考えている。顧客が技術者にセットアップしてもらう必要がないものだ。しかしこれは、Bang & Olufsenがしたことのないほど大胆な賭けである。何と言っても同社は高級品メーカーとして知られており、その製品のいくつかは、近代美術館の永久コレクションになるほど美しい。そのブランドに手を加えることは、同社の顧客が期待するようになった特別な高級品というイメージを傷つけるリスクがある。
しかしMantoni氏は、B&O PLAYを立ち上げないことは、同じくらいリスクを伴うと考えている。
「Bang & Olufsenを成功させようとするなら、過去10年間にやってきたことや、それを10%良くしたものではだめだ」(Mantoni氏)
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