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アニメも料理も好きですから--「痛飯」レシピをクックパッドに掲載するクリエーター

岩本有平 (編集部)2012年02月05日 10時00分
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 「【ボカロ】初音ミクと食べたい【痛飯】」「【マクロスF】シェリルと食べたい【痛飯】」――1月に入って、レシピ投稿サイト「クックパッド」にこんなアニメやゲームのキャラクターをイメージした料理のレシピを投稿をするユーザーが現れ、話題を集めた。

 このクックパッドユーザー「DMJ」は、放送作家、音楽事務所(レコード会社)役員、CGデザイナーの3人による創作料理ユニットだ。2010年冬のコミックマーケット(コミケ)以降、アニメキャラをイメージしたレシピを紹介する料理同人誌「痛飯」をコミケにて販売している。


石舘光太郎さん

 「もともと料理が好きで、つまみを自作しながらアニメ鑑賞やアニメ談義をするなんてことをやっていたんです。それで自分たちでも何か創作したい、コミケに出たいという話になって。『記念受験』の感覚で応募したら見事に当選してしまいました」――こう語るのは、DMJのリーダーである石舘光太郎さん。これまで「人志松本のすべらない話」や「アイドリング!!!」などのバラエティ番組に携わってきた放送作家だ。最近ではアニメ「gdgd妖精s」の脚本も手がけている。

  • DMJがクックパッドに公開したレシピ。石舘さんが脚本を手がけたアニメ「gdgd妖精s」のキャラクターをモチーフにしたものもある

 当選からすぐに同人誌の制作に取りかかった。石舘さんとともに、友人でつばさレコーズ取締役の福原慶匡さんがレシピと調理、盛りつけを担当。同じく友人でgdgd妖精sにも関わったCGデザイナーのi(アイ)さんが表紙などのイラストや写真撮影、加工を担当した。

 キャラクターについてのトピックを2人で書き出し、一般的な料理のレシピにそのキャラクターらしさを加えていく――一番気を付けているのは、料理に慣れていない一人暮らしの男性でも作れるレシピにすることだという。「キャラクターをモニターに映して、その前にケーキを置いて“嫁”の誕生日を祝う人たちが居るじゃないですか? そんなときに作って欲しいな、と。あとはネタ料理であってもそれなりにおいしいこと。それとネーミングですね。そのアニメキャラを知っていればニヤッとできるものにできればと考えています」(石舘さん)。ちなみに、女性キャラをイメージするとなんでもデザートになってしまいかねないという懸念から、デザートのレシピは作らないことをルールにしているそうだ。


福原慶匡さん

 iさん以外はコミケにも足を運んだことがない状態からのスタートだったが、苦労の末に制作した第1刷は、約100冊を販売。カップルやお母さんにも好評だったという。「gdgd妖精sをやってからは、Twitterなどを通じてファンが僕たちを知って、買いにきてくれるようになりました。ですが3冊出すと純粋に痛飯のファンと言って買いに来てくれる人も居てうれしかったですね」(石舘さん)

 3人とも自称「アニメオタク」。仕事の面でアニメオタクの人々と関わることもあったが、同人誌を作って以降、交流が深まったという。福原さんは仕事でアイドルやボーカロイド、声優などに接することも少なくない。ローソンがキャンペーン向けに作成したボーカロイド「あきこロイドちゃん」にも関わった。「見た目がチャラいんでオタクの人たちに受け入れられないこともあるんです。ですが同人誌を名刺代わりに『本当にアニメが好きなんです』ということを言って交流できるようになりました」(福原さん)。「『こちとら、ガチでアニメが好きでレシピ作ってますから!』と堂々と言えますよね」(石舘さん)

 そんな3人がクックパッドにレシピを掲載したのは、コミケ以外で痛飯の露出する場所を増やしたいという軽い気持ちから。「すでにこんなレシピがあると思っていましたが、実は全然なかったんです。唯一近いものがあるとしたらキャラ弁くらいで」(福原さん)。当初はすべてのレシピを掲載する予定もあったのだが、それでは購入者に申し訳ないということで、一部のみを掲載するにいたった。

 「特にゴールを設定している訳ではないです」と語る3人だが、今後もコミケに合わせて同人誌を作り、一部は料理をクックパッドに掲載していくという。「『僕らのレシピだ』というモノではないし、みんなで楽しめればいい。アニメも料理ももともと好きですから。やろうと思えばあと20年はできる趣味ですよね」(福原さん)。「仕事も遊びも含めて僕たちはクリエーター。新しいコンテンツに興味を持たなくなったら『老い』だと思っています。ニコニコ動画やpixivしかり、プロもそこで本当にやりたかったモノを作っています。gdgd妖精sでも感じたんですが、つっこみ文化というか、コメントがコンテンツになる時代です。『痛飯って!』とつっこんでもらって、みんなで楽しんでもらえれば」(石舘さん)

 そんなDMJだが、目下の課題はレシピ作りだという。「1冊目は最近のアニメから選んでいったので、ある種『オールスター』的なレシピになったんですが、2冊目以降は別のアニメを題材にしなければならない。そうなるとそれぞれ担当を分けて新作のアニメを必ず観て、レシピを作るということになってしまいました(笑)」(福原さん)


左からiさん、福原慶匡さん、石舘光太郎さん

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