一辺の長さ0.3mm(300ミクロン)という世界最小のサイコロ、アルミの塊から一体型で削り出した高さ15cmの高精細なアルミのバラ──。「創業から約40年、徹底的に極めたら世界一の加工屋になった」と金属の切削技術に関して絶対的な自信を見せるのは、入曽(いりそ)精密 代表取締役社長の斎藤清和氏だ。埼玉県入間市にある従業員14名の企業である。
そんな入曽精密が新たなチャレンジとして手がけたアルミ削り出しのiPhoneケース「REAL EDGE C2」が登場した。REAL EDGEシリーズは、肉眼では見えないところまで超高精細な加工したこだわりのクオリティを特長とする。
REAL EDGE C2は、iPhone 4/4S専用として設計されたもの。素材は削り出しのアルミニウムで重量は21g。海外製品かと思わせるクールなデザインが特長だ。削り出しのアルミをiPhoneに装着するとなると本体への傷が心配になるが、C2フレーム内部にゴムパッキンを施すことでiPhoneと直接接触しないよう工夫がされている。カラーはシャンパンゴールド、ブラック、シルバーの3色。価格は1万2600円で、同社のウェブサイトで販売されている。
REAL EDGE C2は、本体と専用の背面パネルで構成されている。本体は、アッパーとロワーと2つのパーツでできており、専用のドライバでステンレス製のオリジナルボルトを付属の六角レンチで開閉して装着する。接合部分は継ぎ目が目立たない仕上がりだ。背面パネルもこだわったもので、ポリカーボネート素材を使用しつつも「micro cutting technology」によりカーボン繊維のようなデザインに仕上げた。装着したときに薄くアップルのロゴが見えるのが特長だ。
金属のiPhoneケースは、落としてしまった場合の割れやへこみが気になるところだが、外側にへこみはできても中のiPhoneはしっかりと守られる構造なのだという。
もっとも影響を受けやすいアッパーとロワーの接合部分には、衝撃によってフレームが締まる構造を採用しており「これは宮大工の木組みと同じ考え方。アルミの削り出しだからできること」(斎藤氏)という。
フレームにジュラルミンでなくアルミニウムを採用したのは、「あまり強度を持たせてしまうと落としたときに影響する。iPhoneにダイレクトに衝撃が伝わるのを防ぎ、ゆがんだりつぶれたりすることで中を守る構造」(入曽精密 杉本佳人氏)と説明した。
画面とのフレームとの段差は0.2mm。机に置いた時に画面が当たらないようにしつつも、フレームで画面の端が押さえにくくならないデザインだ。フレームは手になじむよう、すべて面取り加工されている。「機械で作っているけれど“心”が入っている。おもてなしの技術」と斎藤氏は笑顔を見せる。
今後は1月をめどに「REAL EDGE C1」を発売予定だ。重さは14gとさらに軽い。先にREAL EDGE C2を販売開始したのは、C1のほうが先にできたもののデザインが個性的だったため、まずC2で様子を見たかったという。今後はオレンジや赤などさらなるカラーバリエーションの展開や、パネルを別売りにすることも検討中という。また、ジュエリーメーカーと協業したコラボレーションバージョンなども予定しているという。
入曽精密が見据えるのは海外展開だ。「ヨーロッパの人は目が肥えていて、違いが分かる。ヨーロッパのブランドに勝ちたい。日本はブランディングで負けていてもあまり気にしないし、それが日本人のよさかもしれないが、勝ちたいと思う」と斎藤氏はREAL EDGEをグローバルブランドにしていく意欲を見せた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」