ソフトバンクモバイルは10月7日、緊急記者会見を開催し、10月14日に発売予定の「iPhone 4S」の端末価格や料金体系を発表した。同日の会見に臨んだソフトバンクモバイル代表取締役社長の孫正義氏は、10月5日に亡くなったApple共同創業者のSteve Jobs氏の名前を何度も口にしながら、新製品やキャンペーンについて語った。
孫氏は冒頭の挨拶で「本当に残念なショックな思い。昨日は1日胸にぽっかりと穴が開いた状態で放心状態だった。いかに彼が大きな存在だったかを改めて噛み締めた」とJobs氏の死を惜しみ、お互いの自宅で新製品やビジョンについて語り合った思い出を振り返った。
ソフトバンクでは、歴代のiPhoneやiPadなどさまざなApple製品を販売してきた。孫氏は「Steveが生み出したものはとても製品とは思えない。彼の芸術の作品だ。事業のためというよりも、生み出した芸術作品を1人でも多くの人に届けたい。本当にそういう情熱、思いを毎回感じていた」と語り、完璧な製品を求めるJobs氏の姿勢に感銘を受けていたと話す。
10月7日の16時から開始されたiPhone 4Sの予約受付について孫氏は、「数日間でも遅らせたほうがいいんじゃないかとも考えたが、Steveの思いは自分の作品が1日も早く1人でも多くの人々に行き渡ること。これを1番望んでいるのではないかというAppleの人びとの言葉に改めて『なるほど、そうだな』と。僕が彼の立場であったとしても同じように感じたかもしれない」とコメント。Jobs氏の意志を尊重したと説明する。
また、ソフトバンクが販売するiPhone 4Sの価格は、16Gバイトモデルが実質負担0円、32Gバイトモデルの実質負担が月額480円(計1万1520円)、64Gバイトモデルの実質負担が月額880円(計2万1120円)で、実質負担額ではKDDIのiPhone 4Sよりも高額になる。ただし、データ定額料金は月額4410円でKDDI(月額4980円)よりも570円安く、合算するとソフトバンクのほうが安い。
孫氏は同社が設定した価格について、「月々割を含めると世界で最も安い価格になっているのではないか。それは我々が1人でも多くの人々に、直接Steveが陣頭指揮して作ったこの作品をお届けしたいという思いから」と説明した。
さらに、iPhone 3G/3GSを利用しているユーザーがiPhone 4/4Sに機種変更すると、iPhone 3G/3GSで残っている分割支払金と同等の金額を毎月値引きするキャンペーンを発表。iPhoneを購入するとiPad 2を月額料金0円から利用できるキャンペーンも10月14日から11月30日まで実施する。データ通信料は100Mバイトまで無料だが「ソフトバンクのiPadユーザーの4割以上が実は100Mバイト未満」(孫氏)だという。
「いままで3G版はWi-Fi版より高かったが、このキャンペーンでWi-Fi版よりも安くする。ハードを買うのにWi-Fi版より3G版のほうが安いのは、世界で唯一ソフトバンクだけ」(孫氏)
ソフトバンクモバイル取締役専務執行役員CTOの宮川潤一氏によって、ソフトバンクとauのそれぞれの通信規格についても語られた。
ソフトバンクのiPhone 4SはW-CDMA HSPA方式、auのiPhone 4SはCDMA EV-DO Rev.A方式を採用していることから、宮川氏はauのCDMA方式では「データ通信と音声通信が同時に扱えない」と説明。通話中のダウンロードや、通話中のメール受信、ウェブサイトなどを閲覧しながら通話できるのは、ソフトバンクのiPhone 4Sだけだと強調する。
また、最大通信速度の違いについても言及。ソフトバンクのiPhone 4Sでは下り最大14.4Mbpsのデータ通信が可能だが、auの最大通信速度は3.1Mbpsであることから、約4.6倍の速度差があると話し、同社のiPhone 4Sの優位性を示した。
ただし、KDDIとの競争関係については「情報革命という意味で言うと同じ志を共有している集団という思いもある」と孫氏。ソフトバンクにも至らない点はたくさんあると語り、Jobs氏が生み出した製品をKDDIと共により多くの人々の手に届けることは素晴らしいことだと話す。
また最後にJobs氏のビジョンに触れ、「彼は人々に感動を与え幸せを提供することが唯一の思い、また私が創業以来思い続けているのは情報革命で人々に幸せにすること。言葉の表現は違ってもまったく同じことをやろうとした。私にとって(Jobs氏)はヒーローであり、大師匠であり、雲の上の神様」とコメント。Jobs氏への感謝の気持ちを表した。
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