Piper JaffrayのアナリストであるGene Munster氏によると、Amazon.comは「Kindle Fire」タブレットを1台販売するごとに50ドルもの損失を出す可能性があるという。
Munster氏は米国時間9月28日に公開した投資家向けメモで、Kindle Fireの1台あたりの製造原価を250ドルとはじき出した。だがAmazonは、この新タブレットを199ドルで販売する。これに対しAppleは、約350ドルかけて製造した「iPad 2」を499ドルで販売している。
Amazonが2011年第4四半期に250万台のKindle Fireを売ることができると仮定した場合、1台あたりの損失が利益に及ぼす影響は10~20%になる可能性があるとMunster氏は述べている。ただし、他のアナリストたちが指摘しているように、Amazonはハードウェアの売り上げを当てにしているわけではない。
その代わりにAmazonは、音楽、書籍、動画、アプリケーションなどの商品を扱う同社のデジタルショッピングセンター全体でお金を使ってくれる消費者をさらに多く引き込みたいと考えている。うまくいけば、こうした戦略は、Amazonがタブレット1台あたりで引き受ける損失や利益に与える影響を補って余りあるものになるはずだ。
Munster氏はメモの中で次のように述べている。「われわれが指摘したいのは、ここでまとめた利益に対する潜在的な影響に、『Amazon Prime』会員のハロー効果によって生み出される追加の売り上げ、デジタルコンテンツの消費、Kindle Fireが後押しすると考えられる物理的な製品の消費が含まれていないということだ。AmazonはKindle Fireで、Primeと結び付けたクラウドベースの優れたコンテンツ配信システムを活用し、原価割れをするとわれわれが考える端末から利益を得る、独自のタブレット戦略を試みるとわれわれは考えている」
Munster氏は、AmazonのタブレットがiPadにどう対抗していくと考えているのだろうか?
大きな違いはもちろん価格だ。Kindle Fireは、最も安価なモデルのiPad 2より300ドル安い。だが、Munster氏は強力なハードウェアとソフトウェアという点でiPadの優位を認めているが、Kindleはクラウドベースの強力なコンテンツ配信サービスを支えにしている。
「Kindleタブレットは、意味のあるコンテンツ(Amazonの動画、音楽、アプリケーション、クラウドサービス一式)配信機能を備えたタブレットとしてiPadを超える初めてのタブレットになるだろうが、全体としての体験はiPadより今なお1歩か2歩後れをとっているかもしれないとわれわれは考えている」と、Munster氏は言う。
Kindle Fireはスクリーンサイズが7インチで3G機能もカメラも搭載していないため、Munster氏はこれを真にiPadと競合する製品とは考えていないが、「映画、音楽、ウェブブラウジングの新しい機能により」、同氏が予想していた以上に競争力があることを認めた。Munster氏は年末商戦を含む第4四半期におけるiPadの現時点での売り上げ予測を変えていないが、2012年における市場シェアの変動を注視している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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