そこでKindle Fireの登場となる。確かにAmazonはそれを、本格的なタブレットではなく、高性能化した電子書籍リーダーと位置づけている。その仕様は、サムスン電子の「GALAXY 10.1」や、ソニーの「Tablet S」と比べればかなり見劣りする。Kindle Fireにはカメラや3Gアクセス、マイクなどが搭載されておらず、ストレージ容量は8Gバイトしかない。
しかしこのタブレットも「Android」を搭載しており、インターネットを閲覧したり、ゲームで遊んだり、Kindleの電子書籍ライブラリにアクセスしたりできる。さらに重要な点としては、ユーザーは「Amazon Prime」を利用して、Amazonのビデオライブラリに制限なしにアクセスできる。メディアデバイスとしては、Kindle Fireは世の中にあるほかのタブレットと比べても遜色ない。そして今のところ、消費者がタブレットを買う理由の大部分を占めるのはこうした点だ。
ハードウェアの販売に関して言えば、Amazonは不公平ともいえるほど有利な立場にある。同社にタブレットや電子書籍リーダーを低価格で販売する余裕があるのは、ユーザーがそのデバイスのために購入する可能性の高いコンテンツでそれを支えられるからだ。例えば、Amazon Primeは年間79ドルかかるが、古いテレビ番組は1話1ドルで手に入れられるし、書籍は無料から15ドルまでいろいろある。さらに、Amazonはオンラインストアという独自の流通チャンネルを支配している。これには膨大なトラフィックというメリットもある。
Recon AnalyticsのアナリストであるRoger Entner氏は、「流通チャンネルを支配することは、Amazonにとって大きな強みとなる」と述べる。
その点は、タブレット自体の販売から利益を得ている、Motorolaやサムスン電子とは大きく異なる。こうした企業がデバイスを値下げすると、自らの利益を犠牲にすることになり、同時に将来的な利益の可能性もない。どちらの企業も独自の販売店を持たないため、流通や小売りはパートナー企業に頼っている。
多くのライバル家電メーカーは、こうしたことを理解した上で、Kindle Fireと競争することを考えて身が縮むような思いをしているはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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