特筆すべきは、iPodに関する記述が一切見られないことだ。この数年間、Appleは9月にイベントを開催して新たな製品ラインを発表している。だが、iPodシリーズの主役は、事実上電話機能のないiPhoneともいうべき「iPod touch」のままだ。
実際のところ、iPhoneの発売以後、iPodはiPhoneよりも後回しとなり、また、Appleの総売上高に占める販売の落ち込みは回復の見込みを全く見せていない。
とはいえ、iPodシリーズはいまだに売れ続けている。Appleの第3四半期(業績発表された直近の四半期。Appleの第4四半期は先週終了)でiPodの販売台数は754万台、前年同期比で20%の減少となっている。一方、同四半期におけるiPhoneの販売台数は前年同期比142%増の2034万台だった。
iPodに関してAppleが打てる手は残されているのだろうか。iPodは調整や改善とともに毎年軽量化されてきたが、ここ数年、Appleはデザインのやりくりに行き詰まっている。例えば、「iPod shuffle」は使いづらいボタンなしのデザインからボタン式に戻り、「iPod nano」は全面的な見直しによってタッチスクリーンが搭載され、かつては大々的にうたわれたビデオ録画のようないくつかの機能が削除された。
AppleはiPod touchでも壁にぶつかっている。この製品はアップデートするごとにiPhoneの機能が少しずつ加わっているが、iPhone自体よりも魅力的な製品となるには十分ではない。また、iPod touchの発売時期はiPhoneの発売に合わせて選択する必要もあり、来週のイベントでiPod touchのアップデートが一緒に発表されるならば、物事はもっと簡単になる。
今もっとも重要な両義語である「Let's talk iPhone」のフレーズは、明らかに読み取れることとは別に、Appleが長くうわさされていた音声コントロール刷新の発表を行うことを示唆しているとも推測できる。音声認識ソフトウェアはiPhoneではiPhone 3GSから搭載され、iPodにも導入されている。
このうわさはここ数カ月過熱している。2011年になってTechCrunchは、最先端の音声テクノロジを「iOS 5」に提供するとみられるNuanceとの連携をAppleが進めており、次のiPhoneではいくつかの追加要素もあるだろうと報じた。だが、6月にiOS 5が発表された時には音声機能はどこにも見当たらなかった。
先日の9to5Macのレポートでは、iOSのソフトウェアキーボード内にマイクアイコンが配置されているスクリーンショットが掲載された。レポートではまた、音声機能によってユーザーはアプリケーションを起動し、声で端末内をナビゲート可能になるだろうとしている。
Appleが2010年4月にSiriを買収したことを考えると、このうわさは特に興味深かった。Siriは自然言語処理やセマンティックウェブ検索、音声認識を組み合わせて音声クエリをウェブ検索ベースのタスクに変換する技術を有しており、Appleに買収される前には、音声コマンドを利用してタクシーやレストランの予約などを行うアプリケーションを開発した。
モバイルデバイス向けの音声認識テクノロジでAppleがGoogleに水をあけられていることを考えると、この動きへの期待は高い。Googleは2011年1月、「Android OS」のアップデートの一環としてAndroidのキーボードに音声認識テクノロジを追加し、ユーザーの声をメッセージやウェブ検索の文字として変換したり、特定のコマンドでのアプリケーション起動を可能にしたりしている。それに比べAppleの音声コントロールは、2009年の導入以来ほとんど変化は見られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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