ウェブでの支配的立場を強めるFacebook--新たなプラットフォームで目指す先

Dan Farber (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年09月29日 07時45分

 筆者は1年ほど前、Facebookのソーシャルウェブでの優位性が高まっており、人々が構成するインターネットに巨大な影を落としていると書いた。当時のFacebookには5億人のユーザーがいた。そして、Mark Zuckerberg氏が米国時間2011年9月22日の「F8」の基調講演で述べたところによると、1日に5億人もの人々がFacebookを利用しており、総ユーザー数は8億人に到達しようとしているという。

 Experian Hitwiseによると、米国における9月17日までの1週間のインターネットアクセスのうち、Facebookへのアクセスが10%を占めており、Googleが7%でそれに続いたという。ソーシャルネットワークに限定すると、Facebookは65%以上のアクセスシェアを獲得した。それと比較して、同期間におけるYouTubeのアクセスシェアは19.5%だった。

 Facebookは22日のF8で多くの新機能を発表し、人々やもので構成されるインターネットにさらに大きな影を投げ掛ける態勢にある。

 新しいバージョンの「Open Graph」プラットフォームにより、開発者は人々を「好きな方法で好きなものに」つなげるアプリケーションを作成することができる、とZuckerberg氏は述べた。「書籍を好きになる(like)必要はない。単に読む(read)ことができる」(Zuckerberg氏)

 新しいOpen Graphを含むさまざまな機能によって、Facebookはユーザーの生活に関するデータを記録して、新しい種類のソーシャルインタラクションや体験をオンラインで提供するだけでなく、地球上の人々の大部分を同社サービス内で深く巻き込んでもいる(量子力学的な意味で言えば、1つの物体について、ほかの物体を考慮せずに完全に説明することはできない)。

 Zuckerberg氏とチームは、Facebookを人々がオンラインで暮らせる場所にするために可能な限り素早く動いており、すべてのアプリケーションをソーシャル化してFacebookの基盤(プラットフォーム)に組み込もうとしている。Zuckerberg氏はF8に集まった聴衆に対し、「これからの5年間は、アプリケーション、および関係の深さによって定義されていく」と述べた。

 WiredのSteven Levy氏は、「人々がこれらのアプリケーションで行う活動、例えばBjorkの楽曲を聴いたり、同性婚法について読んだり、アロスコンポーヨを料理したり、4マイル(約6.4km)ランニングしたり、アムネスティ・インターナショナルに寄付したりといったことは、(ユーザーがそれを許可すれば)大幅に強化されたプロフィールページ上に永久に保存され、アクセスできる状態になる。そのページは本質的に遠隔操作が可能な自叙伝になるだろう」と書いた。

 Facebookの新しい種類のアプリケーションがあれば、ユーザーはほかのユーザーに対して、自分が聴いている音楽や再生履歴の閲覧を許可したり、一緒に音楽を聴いたりすることができる。この機能は、新たな有料会員の獲得を目指している音楽サービスにとっても魅力的だ。

 Facebookは革新を行い、強固なユーザーベースに魅力的なサービスを提供し続けることによって、ウェブの「植民地化」を継続的に進めているが、それは同社のアクセスシェアと訪問者数、ユーザーが同サービス上で過ごす時間、そして売上高の増加につながるだろう。評価額が1000億ドルを突破することも夢物語ではない。

 もちろん、すべてのユーザーにはFacebookの世界を去って、ほかの居場所(例えば、「Google+」などの別のソーシャルプラットフォーム)を探す自由がある。しかし、Zuckerberg氏が未来に向けたビジョンの中で説明したように、1人の人間が「何カ月、何年もかけて自分の人生の物語についてキュレーションを行い、それをFacebookのプラットフォーム上で共有している」植民地を去ることは、Facebookでの交流やかかわり合いが深くなるにつれて、ますます困難になっていくだろう。

Facebookの最高技術責任者(CTO)であるBret Taylor氏は「F8」において、「Open Graph」で目指している主な目標は物事をシンプルな状態にしておくことだと述べた。
Facebookの最高技術責任者(CTO)であるBret Taylor氏は「F8」において、「Open Graph」で目指している主な目標は物事をシンプルな状態にしておくことだと述べた。
提供:James Martin/CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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