「年度内にピークを上回れる」--ウィルコム宮内社長が意欲見せる

 ウィルコムは9月21日、2011年秋冬モデル10機種29色を10月6日以降に順次発売すると発表した。同日の記者発表会にはウィルコム代表取締役社長の宮内謙氏が出席、新製品に込める思いを語った。

 ウィルコムは更生計画の認可を得て、2010年12月にソフトバンクの子会社となった。これを皮切りに、12月3日に他社との通話料金が定額になる「だれとでも定額」を開始。また、タレントの佐々木希さんをCMキャラクターに迎えた。さらに、既存顧客が2~3回線目の「新ウィルコム定額プランS/GS」を無料で利用できる「もう1台無料キャンペーン」も開始した。

 宮内氏は、これらの施策を実施するまで「ずっと純減だった」と語る。ピーク時に456万だった契約数は、2010年12月時点で386万まで減少していたという。しかし、CMやキャンペーンの効果もあり、2月には20カ月ぶりに純増となった。また、5月にはドコモ、auをおさえ純増数が2位へと上昇。7月にはPHS累計契約数が400万を突破し、8月にはだれとでも定額が100万台を突破した。

  • ウィルコム代表取締役社長の宮内謙氏

  • 新生ウィルコムの取り組み

  • 7カ月連続で純増数が増加

 宮内氏は「それもこれも佐々木希さんや色んなアグレッシブなマーケティングによるもの」と振り返る。また、だれとでも定額によって各キャリアの料金満足度で1位を獲得できたと話し、「ウィルコムはもともと若年層に非常に強いキャリアだった。それが今はあらゆる世代、性別に広がってきている」と好調の要因を説明した。

 純増数は7カ月連続で増えており、「コンスタントに5~6万の純増を取ることができるようになった」という。宮内氏は「年度内にウィルコムのピークの数字(456万)を上回れると思っている」と意欲を見せる。

約500のアイデアから絞り込んだ10機種

 宮内氏は従来からウィルコムの製品コンセプトは「TALK」(話そう)、「MORE」(もっと)、「LINK」(つながろう)の3つだと話し、秋冬モデルでは同社の強みである“通話”に焦点を絞った製品群を提供すると説明する。

 また、秋冬モデルの中には固定電話のデザインを採用した据え置き型のPHS「イエデンワ WX02A」や、清涼菓子「フリスク」の箱と同等のサイズを実現した世界最小PHS「ストラップフォン WX03A」などユニークな製品もある。

  • 固定電話型のPHS「イエデンワ」

 宮内氏は、「何を考えているんだと思われるかもしれないが」と前置きした上でイエデンワを紹介。最近では携帯電話しか持っていないという人も多いが、「固定電話が必要という人も多い」と語る。一方で固定電話は基本料などがかかったり、玄関や居間など置く場所が限られたりすることから、どこにでも持って行けるイエデンワには需要があるとの見方を示す。

 また、ストラップフォンについては「多分テンキーがついているものでは世界最小ではないか」とコメント。震災時などでも電話がつながりやすいというPHSの特性を挙げ、スマートフォンや鞄にぶら下げて持って歩くのに適したサイズだと語った。

 ウィルコムは秋冬モデルとして新たに10機種を用意したが、宮内氏は「ウィルコムが創業してから一番製品を出したと思う」と胸を張る。また、新生ウィルコムがスタートしてからこれまでの約10カ月間で500個ものアイデアが生まれたと話し、その中から絞り込んだのが今回の秋冬モデルだと語った。

 さらに2012年春に、3G Wi-Fiルータ機能を搭載したPHSと、PHSと3Gを搭載したAndroidスマートフォンを発売予定であることを明かした。宮内氏はウィルコムからスマートフォンが発売されることについて「もともとウィルコムはW-ZERO3などスマートフォンの草分け」と説明。「攻撃こそ最大の防御という言葉もある」と語り、今後も積極的に通話に特化した端末や、ソフトバンクグループとして3Gを活用した端末を展開していくとした。

  • ゲストとして新CMに出演するタレントの佐々木希さんと漫画家の蛭子能収さんが登場

  • 蛭子さんから佐々木さんへ似顔絵がプレゼントされる一幕も

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