モトローラ・モビリティ・ジャパンは9月15日、Googleによる買収表明を経た同社の動向と、CATV事業者向けソリューションを展開するホーム事業部の製品戦略について説明した。
1月4日に行われた米国Motorolaの分社化にしたがって、旧モトローラ株式会社もモトローラ・ソリューションズ株式会社とモトローラ・モビリティ・ジャパン株式会社へと分割された。
モトローラ・モビリティ・ジャパン 代表取締役社長の鈴木寛氏は、現在の事業体制について「モバイルデバイス事業部とホーム事業部からなる。ホーム事業部は、KDDIに提供しているセットトップボックスとCATV事業者に提供しているケーブルモデムが主要な事業。2011年からは、IPTV(Internet Protocol TeleVision)やVOD(Video On Demand)向けの映像送出機器(ビデオヘッドエンド)にも力を入れている。モバイルデバイス事業部は、KDDIから発売されているXOOM、携帯電話のほかBluetoothヘッドセットなどを市場に出している」と説明した。
アジア太平洋地区 ホームビジネスバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるケビン・キーフ氏はGoogleによるMotorola Mobilityの買収について、「現時点ではあくまでも買収の表明であり、当局や株主の承認手続きを経た後、2012年頭までに完了する予定」と説明。また、「Googleのラリー・ペイジCEOのコメントにあるとおり、Googleとモトローラ・モビリティの融合は、Androidを加速するが同時にオープンであり続け、技術的な面でのAndroidプラットフォームの将来を確固たるものにする」と、改めてAndroidのオープン性が維持されることを強調した。
モトローラ・モビリティにとってのメリットとして「Motorola Mobilityのサンジャイ・ジャーCEOのコメントにもあるように、両社の融合はモバイルだけでなくホーム事業にもイノベーションをもたらす。われわれの持つCATV事業者などに向けたビデオプラットフォームと、Googleの持つプラットフォームの統合が期待できる。より具体的なことは、買収が完了した時点で明らかになるだろう」と語り、Android以外のGoogleが持つプラットフォームと、モトローラ・モビリティの事業との融合を期待させるコメントを残した。
日本におけるホーム事業部の展開については、加藤秀徳事業部長から説明が行われた。「“MEDIOS”というマルチコンテンツ、マルチデバイスを橋渡しするIPによる映像配信ソリューションを推進している。ハードやソフトにとどまらない、総合的なソリューションとして展開するもので、2011年に発表した時点ではまだ概念だったが、2011年は具体的になってきた。そのひとつが権利保護のためのセキュリティだ。DRMが多様化しているが、われわれの技術ならそれを吸収できる。もうひとつがパーソナライゼーション。多チャンネル化によって、ユーザーは見たい番組を探しにくくなっている。そこでパーソナライズする仕組みが必要になる。われわれはMEDIOSによって、ユーザーと映像配信事業者を橋渡しする」とした。
また、CATV事業者に対して更なる事業機会を提案するものとして「Cable Wi-Fi」の推進も行うという。「スマートフォンにとってWi-Fiが鍵になってきている。携帯電話事業者がトラフィックをオフロードするためにWi-Fiアクセスポイントを整備しているが、まだ足りない。CATV事業者が自らのCATV網を利用してWi-Fiを整備し、携帯電話事業者と相互乗り入れしたり、CATV加入者への付加価値としたりすることで、新たな事業となる。米国の事業者ではすでに展開しており、今後日本の事業者にも提案していく」という。
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