1月の発表以降、徐々にその姿を明らかにしてきたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の新端末「PlayStation Vita(PS Vita)」。9月14日開催のイベント「SCEJ Press Conference」で発売日や同時発売タイトルなどが発表されたが、東京ゲームショウ2011の基調講演第2部では、「PlayStation Vitaの全貌」と題した講演が行われ、あらためてその詳細が語られた。
既報の通り、前面にはマルチタッチ対応の5インチ有機ELディスプレイ、背面にはマルチタッチパッド、前面背面にカメラを搭載。2つのアナログスティックやジャイロセンサー、加速度センサー、電子コンパスなどを備えるPS Vita。FacebookやTwitter、Skype、foursquareなどのウェブサービスも専用アプリで利用できる。価格は3G/Wi-Fi対応モデルが2万9980円、Wi-Fiモデルが2万4980円。発売は12月17日で、予約は10月15日から開始する(同時発売タイトルなどの詳細はこちら)。
PlayStation Moveなど「これまでもカメラを用いたサービスを積極的に提供してきた」(SCEワールドワイドスタジオ プレジデントの吉田修平氏)という同社だが、今回はAR技術を積極的に採用する。角度がついて認識しづらいマーカーにも対応する「ワイドエリアAR」と空間の特徴点をとらえてマーカーなしでのARを実現する「マーカーレスAR」を用意。現在ベータ版としてデベロッパーに機能を提供しているという。
PlayStation 3(PS3)との連携機能も充実している。オンラインサービスのPlayStation Network上にデータを保存し、PS3とPS Vitaで共有できる「Cloud Save」のほか、PS3とPS Vita間での対戦プレイを実現する「Cross Platform Play」、PS3とPS Vitaのデータを共有する「Data Compatibility」といった機能を用意する。会場では、PS3とWi-Fiで接続したPS Vitaを使って、PS3をリモート操作するデモなどが行われた。
また、1月に開催した「PlayStation Meeting 2011」で発表したAndroid端末とのクロスプラットフォーム展開「PlayStation Suite」についても詳細が明かされた。
PS VitaとAndroid端末上のバーチャルマシンの両者で動作するアプリケーションを作成できる「PlayStation Suite SDK」ベータ版を11月より開発者向けに提供する。開発言語にはC#を採用。3Dグラフィックスのライブラリのほか、UI作成用のツールキットも提供し。ゲームだけでなく、ノンゲームアプリケーションも制作できる環境を用意する。制作したアプリケーションは、審査の後、PlayStation Storeを通じて販売する。
現時点での対応端末はソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「Xperia PLAY」やソニー製タブレットのS、Pシリーズ。今後は対応端末拡大に向け、「既存端末を含めて技術検証を進める」(SCE シニアバイスプレジデント兼第2事業部長の松本吉生氏)。また対応端末向けには、まずは第1弾として、10月下旬よりPlayStation Storeを通じて初代プレイステーションのコンテンツを中心としたアプリケーションを提供する。日本や米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアの9カ国で開始する。タイトルは20タイトル程度から順次拡大するとしている。
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