富士通研、顧客サポート業務改善効果の事前検証技法を開発--早大と共同で

富永恭子 (ロビンソン)2011年09月15日 06時00分

 富士通研究所は早稲田大学理工学術院と共同で、顧客サポート業務で業務改善に向けた施策の効果を事前に検証する技法を開発した。9月14日に発表した。

 今回、開発された技法は、社会科学の現場調査法である「エスノグラフィー」と施策が社会に与える影響を可視化する「社会シミュレーション」技術を応用した。エスノグラフィーは文化人類学での現場調査法。生活や仕事の現場に入って、生活者や働く人の視点から日常の姿を調査する。マーケティングやプロダクトデザイン、組織変革への示唆の導出に応用されているという。社会シミュレーションは、社会における人と人との相互の影響を扱うシミュレーション技法。社会の施策決定者に対して、施策が社会に与える影響を可視化して、意思決定を支援する。

図1 サービス業務の改善
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 開発された技法は、担当者の知識やスキルの習得度合いを現場調査によってモデル化し、改善策の効果やリスクを事前に検証することを可能にしたという。これにより、顧客サポート業務での改善策の候補から効果が高いものを比較検討することができるほか、これまでにない新しい施策アイデアが創出される可能性もあり、現場の業務改善につなげることが期待されるとしている。

 同技法は、エスノグラフィーを利用して、日常的な出来事の観察やインタビューから重要な気づきを抽出し、担当者の知識やスキルにかかわる事象を詳細に分析する。現場調査の結果を利用して、ベテランから初心者にどのように伝わるのか、担当者がどのくらいの期間で業務知識をマスターするのかといった、目に見えない要素を表現し、分析対象となる組織の業務知識習得度合いをモデル化するという。

図2 施策の検証実施プロセス
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 さまざまな可能性を社会シミュレーションで検証。ジョブローテーションやノウハウ情報データベースの導入などの施策の効果を、生産性だけではなく、担当者の知識やスキル、顧客満足度の変化などの多様な観点から分析することができるという。シミュレーションは、繰り返すことで組織変化のさまざまな可能性を提示し、施策決定の議論を支援するとしている。

 今回、富士通のSupportDeskコンタクトセンターで業務改善施策を検証している。その結果、担当者が顧客の個別要求のカテゴリごとに優先度をつけて情報を整備する施策では、今回開発した技法で改善施策の効果を事前に検証できたという。顧客サポート業務の改善策候補から効果が高いと想定されるものを選択することで、現場の業務改善につなげられるという。

 今後、早稲田大学理工学術院の高橋真吾教授と富士通研究所は、フィールド調査からモデル化までをスピードアップするため、さまざまな顧客サポート業務のモデルのテンプレート化を図っていくという。

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