NECは、東京ケーブルネットワーク(TCN)と提携し、NECのAndroid搭載タブレット端末「LifeTouch(ライフタッチ)」をテレビリモコンおよび情報端末として活用した新サービスの実証実験を9月から開始すると発表した。
TCNは、文京区、荒川区、千代田区をサービスエリアとしたケーブルテレビ会社で、実証実験は同社のケーブルテレビ視聴加入者を対象に200世帯で実施する。実証実験期間は、2011年9月から3カ月間。
「主に機械操作が苦手な方や、家事や育児に忙しい主婦を対象に実証実験を行う。デジタル化に伴い、煩雑化しているリモコン操作の簡易化に向けた改善を図るとともに、地域情報の配信などの新サービスの可能性について模索することになる」(TCN 執行役員 CATV統括部長 遠藤昌男氏)という。
TCNでは「メディアコンシェルジュサービスの提供」を標榜しており、今回の新サービスがケーブルテレビ加入者のデジタルデバイドの解消や、デジタル時代におけるケーブルテレビ局ならではの新たなビジネスモデルを実現することになるとしている。
NECのLifeTouchは、BtoBtoC型のビジネスモデルを採用した情報端末。量販店などを通じたエンドユーザーへの直接販売は行わないが、今回のTCNとの提携のように、第三者事業者を通じてエンドユーザーに端末を提供するスタイルをとる。
標準仕様では十字キーなどを搭載しているが、TCNに提供する端末は押しやすいように大きめのボタンに変更し、これを3つ搭載。さらに、TCNのサービスノウハウをベースに専用アプリケーションを開発した。
同端末の愛称を「TCNタッチコン(仮称)」として、エンドユーザーに提供することになる。
7型ワイドTFT液晶画面を、そのままタッチできるという操作性の高さを利用したタッチコン簡単リモコンサービスでは、画面に表示されているチャンネル名称からダイレクトに番組を選択したり、家族4人まで異なる画面で登録したお気に入りセレクト機能の使用が可能になる。
「3桁のチャンネル番号を入力したり、番組表を確認する必要がないほか、TCNからのお勧め番組の紹介により、多チャンネルの楽しさを提案できる」という。
また、「タッチコン総合コンシェルジュサービス」として各種情報提供サービスを用意。少ない入力で保健師や看護師と健康や介護の相談が可能になる「健康支援」サービス、地域の商店情報やオンラインショッピングを可能とする「生活支援」サービス、地域で起こった犯罪や火災などの重要情報をアラームで知らせる「緊急情報伝達支援」サービスなどを用意。さらに、定型文を使用することで文字入力が不要になる簡単メール機能、音声メールを送信したり、メールで送られてきた写真を自動で取り込んで表示するコミュニケーション支援サービスも提供する。
端末機の「TCNタッチコン」は、サービス開始時には月額使用料として数百円程度を徴収する予定だという。
将来的には、録画予約機能の搭載のほか、番組情報や生活情報のパーソナルレコメンデーション機能の提供、TwitterやFacebookといったSNSとの連携、スマートグリッドとの連携によるスマートメーターの見える化、ビデオオンデマンド対応などを視野に入れているという。
TCN 代表取締役社長執行役員の棟田和博氏は、「ケーブルテレビ局の強みはサービスエリアが限定されている点。限られた地域のお客様に情報を提供するというのは、全国規模の放送局ではできない。一方で、多くの視聴者からの問い合わせで多いのが、リモコンのボタンが多すぎる、リモコンのボタンに書かれている文字が小さいというもの。リモコンの改善が最大の課題であり、これをLifeTouchで解決できる。機械操作が苦手である、情報を入手したい、情報を活用したいという人に対して提供することで、地域の方々に親しまれるケーブルテレビ会社を目指す」とした。
また、NEC パーソナルソリューション事業本部長の西大和男氏は、「シニアの方々はカラオケに行っても、簡単な操作で自分が歌いたい曲をリクエストできる。これと同じタッチ操作を実現したのがLifeTouch。実証実験を通じて得られた様々な意見を採用して、多くの人に使っていただける端末に進化させたい」などとした。
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