「チェックイン」というアイデアを広めたのはまぎれもなく米foursquareだろう。場所にチェックインすることで友人とつながり、コミュニケーションを広げる。場所がキーになっているので、ローカルビジネス(来店促進やブランド認知など)の新たなマーケティング手法としても注目を集めている。
ゲーム的な要素としても、マーケティングツールとしても、市民権を得つつあるチェックイン。このチェックインの新たな利用方法を提案するサービスが間もなく登場する。
インサイト・プラスとベンチャーリパブリックは、8月29日より「shopping+(ショッピングプラス)」を提供する。
shopping+は、場所ではなく家電をはじめとした“モノ”にチェックインするサービス。買いたいモノにiPhoneアプリを使ってチェックインすることで、ソーシャルグラフならぬ「モノグラフ」を構築する。ユーザー間でモノの価格や評価を共有したり、モノを販売する側からクーポン情報を提供したりするといったコミュニケーションを生み出すことを目指す。
特徴はなんといっても実際の店舗でモノにチェックインできることだろう。インサイトプラス代表取締役の八木岳郎氏は、具体的な店舗名こそ明らかにしなかったが、「近日中にも大手家電量販店や専門店などで、実際に商品にチェックインするキャンペーンを行える」と語る。
具体的なサービスの流れはこうだ。まずユーザーは店舗に行き、アプリを立ち上げてチェックインを選択。バーコードリーダーが表示されるので、商品の値札についているバーコードを読み取る。するとアプリ上に対象となる商品が表示されるので、店頭の価格やコメント、FacebookやTwitterといったソーシャルウェブへの投稿などを選択してチェックインする。するとこの商品に対してチェックインしている他のユーザーやレビューが共有される。また、クーポンが提供されている場合はクーポンが表示される。
商品情報や実勢価格などは、ベンチャーリパブリックの運営する価格比較サイト「coneco.net」のデータベースと連動する。そのため、ユーザーは実際の店舗で商品にチェックインすれば、そこでECサイトとの価格比較ができてしまう。量販店などではECサイトとの価格比較自体を禁止しているところもあるが、「だからこそ、このサービスをやりたかった」と八木氏は語る。
店頭価格とECでの価格を比較してみると分かるが、単純にECサイトのほうが販売価格が安くても、ポイントの差し引きや送料を考えると、必ずしも店頭より得という訳ではない。サービスを提供するにあたり、多くの量販店をめぐった八木氏は「アフターサービスまでを考えると、店頭の方が(ネットより)競争力が強い場合がある」と量販店に提案。チェックイン機能が潜在顧客を店舗へ誘導するために有効と評価された結果、店舗との連携が実現したのだという。
チェックインの動機付けとして用意される店舗側からのクーポンや情報配信の仕組みは、同時に店舗側のマーケティングツールとして機能する。ビジネスモデルとしては主に店舗への課金を考えているそうだ。
八木氏は1990年後半に大手書店でEC事業を立ち上げ後、2001年にトラフィックゲート(現リンクシェア・ジャパン)を創業。10年に渡る経営を経てインサイトプラスをスタートアップさせた「ネット販売のプロ」だ。ECや価格比較が持つ強さを理解している人物だけに、チェックインという手法でどこまでリアルビジネスへの送客を実現できるのか興味深い。
サービス開始時点ではiPhoneアプリのみの提供となるが、年内にはウェブ版、Android版と利用の幅を広げていく。合わせて商品カテゴリについても今後拡大していく予定だ。
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