論理的思考を養うための10のヒント - (page 2)

Calvin Sun (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎2011年08月11日 08時00分

 同じように、間違っている可能性のある推論の例を挙げてみよう。

  • ウイルスXに感染しているすべてのコンピュータは、Yという症状を示す
  • JoeのコンピュータはYという症状を示している
  • 従って、JoeのコンピュータはウイルスXに感染している

 この推論は、同じ理由で間違っている。すなわち、コンピュータがYという症状を示しているのは、別の原因からかもしれない。正しい分析は、次のようになる。

  • コンピュータがウイルスXに感染しているならば、Yという症状を示す
  • JoeのコンピュータはウイルスXに感染している
  • 従って、JoeのコンピュータはYという症状を示すはずだ

 後件肯定の虚偽を説明する古典的な例は、次のようなものだ。

  • 犬は4本足である
  • 猫は4本足である
  • 従って、犬は猫である

4.「裏」

 元の条件文の「裏」は、前提と結論の場所はそのままだが、それぞれを否定する。裏を略記法にすると、「¬p → ¬q」となる。

 スマートフォンの文章の裏は、「スマートフォンが水に落ちなければ、スマートフォンは故障しない」となる。裏は真であることもある。しかし、今回の例のように、真ではない場合もある。スマートフォンは多くの原因で故障する。従って、スマートフォンを水に落とすことはなかったとしても、何らかの不具合が起こらないとは限らない。ウイルスの文章の裏は、「コンピュータがウイルスXに感染していなければ、Yという症状を示すことはない」となる。症状YがウイルスX以外の理由で生じる可能性がある場合、この命題は真ではないかもしれない。

 裏を使った推論には注意が必要だ。

5.「対偶」

 「対偶」とは、裏の逆、あるいは逆の裏のことだ。つまり、前提と結論の両方を否定し、順序を逆にする。スマートフォンの例の対偶は、「スマートフォンが故障していないなら、そのスマートフォンは水には落ちていない」となる。ウイルスの例の対偶は、「コンピュータが症状Yを示していなければ、そのコンピュータはウイルスXには感染していない」だ。略記法では、対偶は「¬q → ¬p」となる。

 元の条件文が真であると仮定したとき、常に真となるのは対偶だけだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]