同じように、間違っている可能性のある推論の例を挙げてみよう。
この推論は、同じ理由で間違っている。すなわち、コンピュータがYという症状を示しているのは、別の原因からかもしれない。正しい分析は、次のようになる。
後件肯定の虚偽を説明する古典的な例は、次のようなものだ。
元の条件文の「裏」は、前提と結論の場所はそのままだが、それぞれを否定する。裏を略記法にすると、「¬p → ¬q」となる。
スマートフォンの文章の裏は、「スマートフォンが水に落ちなければ、スマートフォンは故障しない」となる。裏は真であることもある。しかし、今回の例のように、真ではない場合もある。スマートフォンは多くの原因で故障する。従って、スマートフォンを水に落とすことはなかったとしても、何らかの不具合が起こらないとは限らない。ウイルスの文章の裏は、「コンピュータがウイルスXに感染していなければ、Yという症状を示すことはない」となる。症状YがウイルスX以外の理由で生じる可能性がある場合、この命題は真ではないかもしれない。
裏を使った推論には注意が必要だ。
「対偶」とは、裏の逆、あるいは逆の裏のことだ。つまり、前提と結論の両方を否定し、順序を逆にする。スマートフォンの例の対偶は、「スマートフォンが故障していないなら、そのスマートフォンは水には落ちていない」となる。ウイルスの例の対偶は、「コンピュータが症状Yを示していなければ、そのコンピュータはウイルスXには感染していない」だ。略記法では、対偶は「¬q → ¬p」となる。
元の条件文が真であると仮定したとき、常に真となるのは対偶だけだ。
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